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除草機 の長所と弱点

除草機 の種類と長所、短所

無農薬による米作りは、2004年から始め、除草機を出来るだけ使わず、雑草を芽吹かせない防除を基本に工夫を重ねてきました。しかしながら、部分的には除草機を使う場面があります。 今に至るまでの間、除草機もいくつか試しました。それらはどんな長所、短所があるのか、紹介したいと思います。

スクリュー式4条除草機 (一代目)

完全なエンジン自走式除草機。初期除草限定です。
スクリューは柔らかい泥を撹拌する程度の力なので、小さな雑草を泥を撹拌させ、浮かせて除草するという感じです。土中の根茎から発芽してくるクログワイには無力です。スクリューの回転はワイヤーで力を伝えるので、堅い土、例えば不耕起田などで無理して使うと、ワイヤーに負荷が掛かり過ぎ、使えません。ワイヤーが破断してしまいます。
良い点は無理な姿勢での除草作業にならず、楽な除草ができることです。

和同産業の除草機和同産業の除草機-2

アルミ回転爪式2条用除草機 (2代目)

スクリュー式4条除草機では除草できない、大きくなった雑草を除草するする為に、使い始めました。2条しか除草できないので、効率は半分に落ちます。しかし、気軽に使える取り回しの良さ、新しい条に持ち上げて移動させる場合、アルミ製で軽いというのが、魅力で2016年まで使っていました。
不耕起田では土の堅さの為、回転刃が破損したり、負荷が掛かりすぎる為、動力伝達用のチェーンが切れてしまうという不具合があります。一旦チェーンが破損すると、大変手の掛かる除草機です。
雑草クログワイの除草では横倒しにする程度の効果しかなく、使用に限界を感じていました。

除草機ミニエース除草機ミニエース

冬期耕起

冬期耕起 とは

冬期耕起をやろうと思ったきっかけ

冬期耕起 を行う決断は突然訪れました。
2008年から2017年までの10年間、無農薬の米作りは、冬期湛水と不耕起栽培を柱に取り組んできました。冬期湛水はイトミミズを繁殖させ、その糞は自然の肥料になりますし、雑草の発芽を抑制してくれます。不耕起は土中環境を壊さず、より、自然に近い栽培だと考えていたからです。

しかし、クログワイという雑草にとっては、絶好の繁殖環境を与えてしまうということがわかりました。

クログワイとは

私の今までの無農薬米作りの人生の中で、最強難度雑草はクログワイです。葉っぱがなく、茎が土中から一本伸びただけの姿です。

クログワイ

”繁茂したクログワイ”しかし、田んぼ一面に生育範囲が広がったクログワイを退治するのは並大抵にことではありません。根塊(球根のようなもの)から地下茎で拡がっていきます。春の水田に目立ち始めてから除草機を押しても、土中数十センチの深さにある根塊を完全に駆除できません。

”クログワイの根塊”クログワイの弱点を調べ、根塊は冬の寒さと乾燥に弱いということがわかりました。信州伊那谷は冬、-10℃以下に厳冬の地です。冬の間に耕起を繰り返し、土中の根塊を地表に繰り返し露出させることで、死滅させることができるのではと考えました。

”11月の冬期耕起”11月にまず最初の冬期耕起をしました。

”寒気を生き延びた雑草”次に1ヶ月後の12月に耕起しました。耕起してみると、土の中に隠れていた雑草は生き続けていました。寒気にさらすことにより、成長後の雑草の駆除への効果は期待出来ます。 ​

”寒気で枯れた雑草”寒気にさらされた雑草は枯れていました。

”厳冬期を迎える、1月に最後の耕起をしました。
”萎びたたクログワイの根塊”春、田植え前に田んぼを見ると、萎びたクログワイの根塊、水面で芽を出しながら浮かんでいる根塊が頻繁に見受けられました。 ​​

雑草への効果

”” クログワイのほかにコナギも繁茂して、稲の生育が止まり、もはや、稲が雑草に負けているのがわかります。 ​

””昨年の同じ田んぼの同じ場所です。クログワイ、コナギが減少し、除草機で除草できる程度に勢力が弱まっていました。 ​

無農薬栽培取の歩み

無農薬による米作りを始めて以来、様々な試行錯誤繰り返し、栽培の方法を学んできました。その取り組みを時系列的に整理しました。
2018
無施肥栽培
田植え後の除草

除草機のローター爪を3条から5条に増やし、作業効率を改善。

結果・課題

雑草減、お米増収

2017
無施肥栽培
初冬の代掻き

代掻きにより、稲わらを土中に漉き込み、冬期湛水。イトミミズがより繁殖すると考えました。

冬期湛水

秋、代掻き後、そのまま冬期湛水

田植え後の除草

雑草の生育と繁茂が激しすぎて、今までの2条の除草機の能力では追いつかず、新しく3条中耕除草機を導入。

結果・課題

必死の除草にも、雑草(クログワイ・コナギ・オモダカ)の勢い止まらず、お米の収量半分。

2012
無施肥栽培
冬期湛水

冬期湛水、11月〜

トロトロ層少ない

無施肥にした為か、トロトロ層が薄くなってきてしまった。イトミミズも少ない。

不耕起田に田植

不耕起田に田植えができました。

クログワイ大発生

駆除、最難度雑草のクログワイ大発生で米というより、クログワイ田になってしまった。

2010
有機肥料使用
秋に有機肥料

発酵鶏糞を散布

冬期湛水

冬期湛水、11月〜

トロトロ層形成

作りたかった厚いトロトロ層(イトミミズの糞)が形成されました。

不耕起田に田植

不耕起田に田植えができました。

2005
有機肥料使用
冬期湛水

冬期湛水、12月末〜

春、半不耕起

出来るだけ、浅く耕す半不耕起として、土中の環境を破壊しないようにしました。、

代掻き

浅く代掻き

田植え後の除草

除草機及び手取りで除草

冬期代掻き

冬期代掻き

無施肥栽培でも厚いトロトロ層が出来る田んぼにしたい

冬期代掻き という新しいチャレンジが以下のように生まれました。 2016年、冬期湛水ではイトミミズの餌となる有機肥料(例えば、米ぬかや発酵鶏糞など)を田んぼに撒くことでイトミミズが繁殖し、厚いトロトロ層(=イトミミズの糞、自然の肥料)が形成されることがわかりました。しかし、無施肥栽培でもイトミミズを繁殖させることが出来ないかと考えていました。有機肥料さえも加えないで、出来るだけ自然の力でイトミミズが繁殖するような田んぼの環境を整えたいたいと思っていたのです。

無施肥栽培におけるトロトロ層形成のヒント

インターネット上に、あるブロガーの記事に目が留まりました。 「自宅のバケツ稲のバケツの土の中にはイトミミズが全く見当たらないにも関わらず、厚いトロトロ層は形成さたというのです。そして、そのトロトロ層は、有機物から出るガスで土を攪拌され出来上がったのだとほぼ確信しているというのです。」 残渣として田んぼに残っている稲わらという有機物の積極的な利用を考えました。

冬期代掻き + 冬期湛水 という組み合わせ

この記事をヒントに 「収穫後に代掻きをして、稲わらや稲株を土中に漉き込み、冬期湛水すれば、稲わらの堆肥化が早まり、イトミミズの餌に出来、トロトロ層形成の助けになるのではないかと考えました。」と考えました。

初冬に田んぼに水を入れ、代掻き

2016年12月に代掻きをして、稲わらを土中に漉き込み、そのまま冬期湛水をしました。

冬期代掻き

冬期代掻き 直後(2016年12月)

冬に稲わらを土中に漉き込み、冬期湛水することで、稲わらの分解が進み、肥料効果、イトミミズの繁殖にも促進されるのではないかと考えました。 効果を見る為に、田んぼ表面に稲わらが出ている場所で定点観測し、稲わらがイトミミズの糞(トロトロ層)で隠れていく様子を見ていくことにしました。

冬期代掻き後の稲わら

春の田んぼ表面(2017年5月)

昨年12月に表面に露出していた稲わらは完全にイトミミズの糞(トロトロ層)?に覆われ、いい感じに仕上がっているように見えました。この時点では、 冬期代掻き は肥料効果、雑草抑制への効果を心待ちにしていました。

冬期湛水 稲わら

雑草が爆発的に繁茂して大失敗

冬期代掻き は雑草を抑制するどころか、繁茂させる結果になってしまいました。特に種で増えるっ雑草ではなく、塊茎(球根のようなもの)で繁殖するクログワイやオモダカという雑草が爆発的に増えました。それから、種から発芽するコナギも増えてしまいました。 おそらく、稲わらと一緒に種を漉き込むことになり、種や塊茎が厳しい冬を乗り切る土中という快適な環境を与えてしまったのかもしれません。

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冬の雑草

冬の雑草 対策

冬の雑草

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冬の雑草 は収穫後の不耕起田では秋から冬に掛けて芽吹きます。セリ、スズメノテッポウなどの雑草です。彼らは厳冬期も生き続けます。3月ごろ、気温が上がり始めると、どんどん成長し、田んぼの中で無視できないほどに成長し、除草せずにはいられないやっかいな存在になります。

スズメノテッポウ

不耕起田で見られる代表的な雑草です。一旦芽生えると、冬期湛水しても、水中で生きながらえ、ゆっくり育ちます。地面にへばりつくように背丈は低いですが、大きな株になる為、田植え前に除草する必要があります。

セリ

不耕起田を冬期湛水した場合に主に土手ぎわに沿って、秋から冬に掛けて、発芽します。生命力が強く、根こそぎ抜いても、そのまま放置しておくと、水面で生きながらえ、違う場所で根が活着してしまいます。スズメノテッポウ同様、背丈は低く、地面を這うように、地下茎で拡がります。
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無農薬栽培 失敗 事例

無農薬栽培失敗事例

冬期代掻き

冬期代掻き

冬期代掻き という新しいチャレンジが以下のように生まれました。 2016年、冬期湛水ではイトミミズの餌となる有機肥料(例えば、米ぬかや発酵鶏糞など)を田んぼに撒くことでイトミミズが繁殖し、厚いトロトロ層(=イトミミズの糞 […]
育苗の失敗

育苗の失敗 事例

発芽が不揃い

育苗では、まず 培土 に 種蒔き した 種籾 からうまく 発芽 してもらうことが 重要 です。お恥ずかしい話ですが、他の農家ではうまく 発芽 させているのに、 我家 では7年間ほどうまく 発芽 させることが出来ませんでした。 幾度 となく、 種蒔き をやり直し、何とか 田植え に間に合わせていたというのが正直な話です。どのように 不揃い になるかというと、 育苗箱 の中で、 発芽 する 部分 と 発芽 しない 部分 ができてしまうのです。

気づき

2011年の 種蒔き の時、もしかしたらという気づきがありました。 種蒔き した後、上から 散水 して土に水分を与えるか、 箱 を並べた プール に水を入れて、下から 水分 を与えるかの違いではないかということに気がつきました。それまでのように、上から 散水 すると、 土 が 板状 になり、 太陽シート(アルミコーティングのシート) が土に張り付き、土中~土表面が酸素欠乏状態となり、 発芽不良 になるのでは・・・?と考えました。
箱 上からの 散水 はやめ、 箱下 から 吸水 させました。 太陽シート は 土 に張り付かず、 発芽 もほぼ 全箱 できれいに 発芽 しました。

根

根 張りがすごい

根 張りがプールではいいと言われます。それは太くて長い冠 根 が 床土 全体 に広がるからです。 水稲 の 根 は 畑 のような 陸 で育つと 畑 根 、 湛水 状態 で育てると 水 根 がそれぞれ出ます。 畑 根 は 水田 に入るとその 根 は 機能 しなくなるので、 苗 はストレスで 活力 が弱まり、新しく 水 根 が出るまで 活着 しません。 水 根 は 水田 に植わるとそのまま 機能 するので 活着 がスム-ズだと言われています。それに プール育苗 をするようになった 理由 はもう一つあります。私が 兼業農家 なので 日中 、 育苗 の 管理 ができません。 プール育苗 は一日一回、 プール に 水 を入れるだけです。 プール に 水 を入れてあれば、 ハウス内 が少々、 高温 になっても 苗 が焼けるということがありません。とても、うれしい 育苗方法 です。

根 を苗別に比較

プール 育苗 した 苗 と 陸 で 育苗 した 苗 の 根 の 比較 をしました。 プール 育苗 の 苗 の 根 は長く、勢いがあります。一方、 陸 で 育苗 した 苗 の 根 は短く、勢いがありません。

プール育苗した苗

プール 育苗 の 苗 の 根 は 箱 の中に太い 根 が詰まっています。この 根 は 箱の底の 穴 から出て、 箱 の 箱底 を覆いつくします。 田植え機 に乗せる時には、この 根 を剥ぎ取らないと 箱 から取り出せないくらいです。

陸で育苗した苗

陸 で 育苗 した 苗 の 根 は 箱 の中を見ても、勢いがないのが分かります。

プール育苗

我が家のプール育苗

プール 育苗 は、 露地 での 育苗 方法 を ビニール プール 内で 実用化 したのが始まりです。 播種 後、 育苗 箱 をこの プール に並べ、 発芽 させた後、 プール 内に 水 を入れて 管理 する 育苗 方法 です。 育苗箱 の上まで 水位 を上げれば 好気性 の 病原菌 が生きられず、 苗 の 病気 が出にくい。 無農薬 育苗 する人には 必須 の 技術 となっています。

水 を溜める プール は 均平 な 面 を作っておくことが重要です。 水 を溜めた時、 プール の底に 勾配 があると、 育苗箱 毎に 水深 が違ってしまい、 苗 が小さい時は 水没 してしまうからです。 我家 では プール を作る部分の表面の 土 を少し耕し、 水 を入れ、 代掻き することにより、 均平 な面を出しています。

プール を作る 場所 を 均平 になるよう 代掻き した後、 土 を乾燥させます。その上に、 ビニールシート を敷きます。 我家 では ビニールハウス 用の ビニールシート を利用しています。

育苗箱 に ハトロン紙 などの 専用 の 敷紙 を敷いて、 播種機 で 培土 を詰めます。以前は 手作業 で 培土 を詰めていましたが、ずいぶん 作業 が楽になりました。

次に、 培土 を詰めた 育苗 箱 に 播種機 で 種蒔き 、 潅水 及び 覆土 します。

播種 が終わったら、 育苗 箱 を プール に並べていきます。

育苗 箱 の敷き詰めが終わったら、 太陽シート という アルミコーティング の シート で覆います。1週間ほどすると、 発芽 した小さな 苗 が土を持ち上げて来ます。

発芽 は 箱 ごとに不揃いな場合が多く、どの タイミング で 入水 するか、どの程度 入水 するか、よく考えて決めることが重要です。 発芽 初期 に早く 入水 しすぎたり、 水深 を深くすると、 生育不良 の 原因 になります。

以前は 育苗中 、 日中 、 ハウス の サイド を 開放、 換気 し、 夜中 は 保温 の為、閉めていました。しかし、最近は 気温 が低くても 開放 したまま 育苗 しています。通常の 育苗期間 は35日程度ですが、 我が家 では45日程度掛けてじっくり 育苗 しています。こしの低い、しっかりした 苗 に育ちます。

プール育苗

プール育苗

プール育苗 – 米農家中西での取組み状況

2018年現在の プール育苗  過去には発芽ムラなど課題がありましたが、その問題も解決し、プール育苗は我が家の技術として、定着しています。

プール育苗との出会い

会社勤めをしながら、苗の世話をする必要がありました。出会ったのがプール育苗です。 育苗の省力・細菌病の発生が少ないことから、無農薬栽培向けの育苗方法として、紹介されていました。 プール育苗は私の米作りにどんぴしゃの育苗方法だと思い、始めました。

プール育苗の歴史

プール育苗は、群馬県農業試験場において、昭和52年に「簡易育苗法」と称したビニールプールを用いた露地における育苗方式を実用化したのが始まりです。
宮城県農業センターが、パイプハウス等の施設におけるプール育苗に関する種々の研究を重ね、平成元年に宮城県農業センター研究報告に実用化技術として発表しました。
最近は、育苗の省力化技術としてばかりでなく、病害の発生が少ないことから「農薬節減技術」として広く普及されています。

育苗方法

水平な置き床にビニールを敷き、5cm程度に湛水できるプールを作ります。
播種後または、出芽終了された育苗箱をこのプールに並べ、必要に応じてプール内に水を入れて管理する育苗方法です。

プール育苗の利点

「灌水作業の大幅な省力化」
●水を入れる時間帯はいつでもよく、特に、日中留守がちな農家に適しています。

「朝晩のビニールハウス開閉作業の軽減」
●プール育苗では、原則として最低気温が4℃以上の場合は、夜間もサイドビニールを開放状態にすることができます。

「病害の発生が極めて少ない」
●育苗後半の発生が目立つ、ムレ苗や籾枯れ細菌病の発生が極めて少なく、減農薬栽培等において広く普及されています。

「施設内全体の苗が均一になる」
●プール育苗では、灌水ムラが少ないため、原則としてハウス全体の苗が均一になります。

「追肥作業が容易」
●プール育苗では、プール内に肥料溶液を流し込むだけでよく、極めて省力的です。

プール育苗の注意点

●置き床に水を溜めるビニールシートが必要です。 ●置き床をできるだけ水平にする作業が必要です。

全農みんなの広場より https://www.jeinou.com/benri/rice/2008/04/101532.html