水の恵み
南アルプス仙丈ケ岳が源流の三峰川 上流水の恵み ― 伊那市・伝兵衛井が育む無農薬米
南アルプス・仙丈ケ岳を源に発し、伊那市を流れて天竜川へと合流する三峰川。
全長60kmにわたる清流は、豊かな自然の恵みを育んでいます。
その上流水を田んぼへと導く「伝兵衛井」は、山々のミネラルをたっぷり含んだ水を稲に届け、無農薬米の美味しさを支えています。
地図や分析、水質データを通して、その恵みの源をひも解きます。

三峰川水質比較(上流域 vs 中流域)
| 成分・指標 | 上流域(美和ダム付近) | 中流域(伊那市中心部付近) | 米作りへの影響 |
|---|---|---|---|
| 水温 | 10〜15℃ | 12〜18℃ | 上流の冷たい水は分けつを穏やかにし、粒揃いに有利 |
| pH | 6.5前後 | 6.8〜7.2 | 土壌pHを急に変えず養分吸収が安定 |
| 溶存酸素(DO) | 8〜10 mg/L | 6〜8 mg/L | 根の呼吸を促進し病害リスク低減 |
| 硝酸態窒素(NO₃⁻-N) | 0.2〜0.5 mg/L | 0.8〜1.5 mg/L | 肥料過多になりにくく粒がしっかりする |
| リン(PO₄³⁻) | 0.01〜0.05 mg/L | 0.05〜0.1 mg/L | 藻類発生が少なく水田環境健全 |
| カルシウム・マグネシウム | 硬度20〜40 mg/L | 硬度40〜60 mg/L | pH安定に寄与し土壌の過剰硬化を防ぐ |
| 鉄(Fe) | 0.05 mg/L以下 | 0.1〜0.2 mg/L | 根の酸素呼吸を阻害しない |
| 濁度 | 1〜5 NTU | 5〜15 NTU | 水が澄んでおり稲根・微生物に良好 |
栽培適性(無農薬有機・自然栽培向き)
- 粒揃い・甘み・艶の向上
- 病害リスクの低減と根の健全な生育
- 微生物環境の健全化による土壌品質の安定化
水の恵み ― 伊那市・伝兵衛井左岸2号から生まれる無農薬米
長野県伊那市を流れる三峰川上流の清流から分岐する「伝兵衛井(でんべえい)」。
その左岸2号水路は、上流水ならではの澄んだ水質と豊富なミネラルを保ち、
無農薬米や自然栽培の稲づくりに理想的な環境をもたらしています。
このページでは、伝兵衛井左岸2号の位置と水質、そして水が米の品質に与える影響を紹介します。
📍伝兵衛井左岸2号と田んぼの位置
長野県伊那市の三峰川上流から取水される伝兵衛井左岸2号は、
冷たく澄んだ清流を田んぼへ運ぶ貴重な用水路です。
我が家の田んぼは、この左岸2号沿いにあり、
上流水の恩恵を受けて無農薬有機肥料栽培・自然栽培に取り組んでいます。

💧水質とミネラル成分分析(伝兵衛井左岸2号)
上流水ならではの清らかな水質を保ち、稲の生育に欠かせないミネラルバランスを自然のまま維持。 この水が無農薬・自然栽培に理想的な理由を成分データから見てみましょう。
| 項目 | 含有量(mg/L) | 稲・土への影響 |
|---|---|---|
| カルシウム(Ca) | 7.2 | 茎の強化・倒伏防止 |
| マグネシウム(Mg) | 2.8 | 光合成促進、粒の充実 |
| カリウム(K) | 1.9 | 病害抵抗力向上 |
| ナトリウム(Na) | 1.2 | 水分調整を助ける |
| 電気伝導率(EC) | 0.06 | 清らかな上流水質を示す |
🌾上流水質が米品質に与える影響
三峰川上流の清流由来の水は、農薬や化学肥料に頼らない稲作でこそ、その力を最大限に発揮します。 水の透明度・酸素量・ミネラルが稲の根を健全に育て、美味しい米粒を育みます。
| 水の性質 | 稲への影響 | 米品質への効果 |
|---|---|---|
| ミネラルバランスが良い | 根の活力を高める | 粒がしっかりし甘味が増す |
| 溶存酸素が多い | 根腐れを防ぐ | 透明感とツヤが向上 |
| 電気伝導率が低い | 自然な生育を維持 | やさしい甘味の米に |
| 冷涼で澄んだ水 | 代謝を穏やかにする | 炊き上がりが香ばしく冷めても美味しい |
伝兵衛井の水の恵み — 地質と無肥料栽培の理由
概要
南アルプス仙丈ヶ岳を源とする三峰川上流の水は、伝兵衛井を通じて田んぼへ直接供給されます。上流の花崗岩や変成岩が長年の風化で供給する天然ミネラルが、無肥料栽培でも稲を健やかに育てる根拠となっています。
地質と溶出する主なミネラル
以下は地域の代表的な岩石と、そこから川水へ溶け出す主要成分、稲への主な効果です。
| 岩石 | 溶け出す成分(イオン等) | 稲・土壌への効果 |
|---|---|---|
| 花崗岩(長石・石英を含む) | カリウム(K)、カルシウム(Ca)、ケイ素(Si) | 茎葉の強化・光合成促進・食味向上 |
| 片麻岩・結晶片岩 | マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)、微量元素(Mn等) | 葉緑素合成・根張り向上・微生物活動促進 |
| 砂岩・礫層(下流混入) | ケイ素(Si) | 稈(くき)を丈夫にして倒伏防止 |
実測水質データ(2024年度・伝兵衛井水源)
以下は、現地で採水・分析した主要水質項目の平均値です。
| 項目 | 測定値 | 単位 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 水温 | 11.8 | ℃ | 年間平均(4〜11月) |
| pH | 7.4 | - | 弱アルカリ性、土壌pHを安定化 |
| EC(電気伝導度) | 0.09 | mS/cm | 溶解塩類が少ない清流水質 |
| Ca²⁺(カルシウム) | 14.6 | mg/L | 弱アルカリ性の主因、稲の根張りを支える |
| Mg²⁺(マグネシウム) | 5.8 | mg/L | 葉緑素形成に寄与 |
| K⁺(カリウム) | 2.3 | mg/L | 光合成を助け、品質向上に貢献 |
| Na⁺(ナトリウム) | 4.1 | mg/L | 微量成分、電解バランス維持 |
| SiO₂(ケイ酸) | 19.2 | mg/L | 稲の茎・葉を強くする主要成分 |
※上記データは伊那市富県地区内・伝兵衛井水源での2024年観測値をもとにした代表値です。
なぜ「無肥料栽培に向く」のか(要点)
- 天然ミネラルが『天然肥料』となる
花崗岩や変成岩の風化で供給されるK・Ca・Mg・Siが、化学肥料の一部と同様の栄養機能を果たします。 - ケイ素(Si)の多さが植物体を強化
ケイ素は稲の細胞壁を強くし、倒伏や病害虫への抵抗力を高めます。これが無肥料・無農薬でも安定した生育につながります。 - 水質が土壌pHと微生物を安定化
Ca・Mgなどにより中和作用が働き、微生物が活発に働きやすい環境が保たれます。微生物による有機物の分解・栄養循環が無肥料栽培を支えます。
