無農薬無肥料栽培(自然栽培)までの歩み

無農薬無肥料栽培(自然栽培)への20年の歩み
2003年に無農薬米の栽培を始めて以来、「雑草を抑えながら収量を安定させる」という課題に向き合いながら、無肥料の自然栽培米へと到達するまで、20年以上にわたり試行錯誤を続けてきました。
本ページでは、無農薬栽培の初期から現在の無農薬無肥料栽培に至る流れをまとめています。
2003〜2008|雑草対策と有機発酵肥料の習得期(無農薬米の基礎を築いた時期)
無農薬米の栽培初年度は、雑草が繁茂するのをただ見ているしかありませんでした。
2年目は手取り除草に追われ、3年目にエンジン式初期除草機を導入。無農薬栽培では「除草作業をどう効率化するか」が最大のテーマとなりました。
同時に、自然界の発酵の仕組みに魅力を感じ、米ぬかや菜種かすを用いた独自の有機発酵肥料づくりにも没頭。
この時期は、無農薬栽培と有機農法の両立を目指し、収量向上のための基礎を作った期間でした。
2004〜2013|冬期湛水 × 不耕起栽培の探求(自然栽培米の理想形を模索)
冬期湛水と不耕起を組み合わせた栽培方法を本格的に導入。
イトミミズが活性化することでトロトロ層が形成され、この層が雑草の発芽を抑制。
「無農薬米の理想形ではないか」と期待が高まった時期で、自然栽培米の基礎として注目した方法でした。
2012〜2017|クログワイ問題の顕在化(無農薬栽培の大きな壁)
クログワイは地中の塊根から何度でも発芽するため、除草機で水面に出た茎を攪拌しても完全には除草できない、最も難防除の雑草のひとつです。
冬期湛水のあいだも塊根は土中で生き続け、水分を好むため、生育条件が整うと再び芽を出します。
写真では、手のひらに載せたクログワイの塊根と、成長した茎を手に持っている様子が写っています。
無農薬・自然栽培で無農薬米を育てるうえでも、この雑草対策は大きな課題となります。

しかし、冬期湛水の田んぼではクログワイだけが防除できず、年々増加。
イトミミズによるトロトロ層は効果を発揮しているものの、クログワイには無力で、無農薬栽培としての限界が露呈した時期でした。

2017|不耕起を中止し、冬の複数回耕起へ転換(新しい無肥料栽培の土台)

クログワイの塊根が「寒さと乾燥」に弱いことに着目。
冬の間に深耕起を複数回行い、塊根を地表に出して凍結・乾燥させる方法へ転換しました。
この転換が、後の無農薬無肥料栽培(自然栽培米)の安定化につながる重要な一歩となりました。左の写真は、前年の冬期複数回耕起で、寒さと乾燥で死滅したクログワイの塊根です。
2018〜現在|乾田効果 × 無肥料で収量安定(無農薬無肥料栽培の確立)
冬期の複数回耕起による「乾土効果」が発揮され、
稲わらの分解が進み、微生物が活性化。結果として、無肥料でも収量が安定していきました。
無農薬米・自然栽培米としての品質向上にもつながり、現在の栽培方法の基盤が完成しています
まとめ|試行錯誤が現在の栽培方法をつくった
- 冬期湛水+不耕起で雑草は抑制できた
- しかしクログワイだけが防除できず崩壊
- 冬の複数回深耕起で土壌が生まれ変わり、無肥料でも収量が安定
- この20年の試行錯誤すべてが、現在の「無農薬無肥料栽培(自然栽培)」の揺るぎない土台となっている
結びに代えて
2017年の崩壊は私にとって大きな試練でしたが、それがあったからこそ、今の「土ごと発酵」という答えに辿り着くことができました。
失敗も、成功も、すべては「より生命力溢れるお米を届けたい」という一心で積み上げてきた記録です。
▼ 20年の試行錯誤の末に辿り着いた「技術の核心」 私がかつて極めた発酵肥料の知見を、いかにして現在の「土ごと発酵」へと昇華させたのか。その具体的な理論についてはこちらで詳しく解説しています。 → 発酵肥料作りから学んだ、土作りのこだわり —— 20年の試行錯誤が辿り着いた「無肥料」の境地↗
▼ 理論を証明する「最新の栽培データ」 この理論を実践し、収量をV字回復させた具体的なデータと、現在のリアルな田んぼの様子、伊那谷の気象記録はこちらからご覧いただけます。 → [2026年 栽培記録と気象データ —— 技術の実証ページへ↗]
