自然循環の力で育てる無農薬米|田んぼの小さな生き物と稲作の設計図

このページは、現在進行中の無農薬稲作の設計図です。
無農薬米農家として、
「自然循環」という言葉を掲げるだけでなく、
自分なりの考えと仮説を持ち、
それを設計図としてお客様にお見せできる農家でありたいと考えています。
長野県伊那市の無農薬米農家「米農家中西」です。
私は、化学肥料や除草剤に頼らず、
自然の力を最大限に活かした米づくりを追求しています。
今回ご紹介するのは、
緑肥「ヘアリーベッチ」と、田んぼの小さな働き者「イトミミズ」が
共生する自然循環の仕組みを、
一つの設計図として形にしたものです。
2026年の収穫を目標に、
試験田で進めている「持続可能な稲作」の構想であり、
この設計図が実際に機能するかどうか、
すでに実証実験を始めています。
無農薬栽培を支える「ヘアリーベッチ」と「イトミミズ」の相乗効果
STEP 1:冬の根が土を耕す「天然の耕耘機」
秋に田んぼで芽吹いたヘアリーベッチは、冬の間も静かに活動を続けます。
冬山で極寒に耐える高山植物のように、数粒の種から発芽した5cmにも満たないベッチが、雪の下で土と向き合い続けます。
春になると、その生命力は一気に表に現れます。
根は最終的に50cm以上地中深くまで伸び、農家が鍬を入れなくても、植物自身が土をほぐし、空気と水の通り道をつくっていきます。



STEP 2:肥料を買わない米づくり ― 根粒菌による天然の窒素供給
ヘアリーベッチの根には根粒菌が共生します。
この微生物は、空気中の窒素を植物が吸収できる形に変え、土壌中に蓄えてくれます。
化学肥料を外から持ち込む必要はありません。
田んぼそのものが、窒素を生み出す循環装置へと変わっていきます。
STEP 3:除草剤不要の仕組み ― ヘアリーベッチがつくる「天然の毛布」
田植え前、十分に生育したヘアリーベッチを倒し、田面を覆います。
これが緑肥マルチです。
- 太陽光を遮断する物理的効果
- ヘアリーベッチが持つアレロパシー(他感作用)
この二つが重なり、ヒエやコナギなどの雑草の発芽を強力に抑制します。
しかし、ここで一つ大きな課題がありました。不耕起栽培で顕在化した「漏水問題」
かつて実践した不耕起栽培では、
冬期湛水による深刻な漏水が最大の課題として残りました。
2025年に観察した稲株の根穴構造からも、
同様の漏水が起こることが予想されます。


STEP 4:イトミミズの饗宴 ― 「トロトロ層」が田んぼを守る
入水後、枯れたヘアリーベッチは微生物によって分解され、
イトミミズの格好の餌になります。
イトミミズが増殖し、排泄物を重ねることで、
田面にはトロトロ層が形成されていくと考えています。
この層が――
- 2025年の稲株の根穴を塞ぎ
- 漏水を抑え
- 保水性と抑草性を同時に高める
天然のバリアとして機能することを期待しています。
トロトロ層が安定するまでは、
朝夕の水管理を丁寧に行う必要があると想定しています。


STEP 5:自然の生命力を一粒に ― 農家直送で届けたいお米
肥料を与えず、
草と戦わず、
ただ自然の循環を支え、見守る。
この工程を経て収穫される一粒には、
土・微生物・植物・水の生命力が凝縮されています。
甘み、香り、そして安心。
これが、数粒の種から始まった、
私の無農薬米づくりの設計図です。


このプロセスが、今まさに私の田んぼでどう進んでいるのか。
現在進行形の記録は
無農薬米農家の挑戦【第1話】 で詳しく紹介しています。


