【無農薬栽培の軌跡③】エンジン式初期除草機の導入――手取り除草から次の一歩へ

**無農薬栽培の軌跡③
エンジン式初期除草機の導入――手取り除草から次の一歩へ**
無農薬・無肥料栽培を続けるうえで、避けて通れない壁があります。
それは 雑草対策 です。
第1話では「無農薬栽培を始めたきっかけ」。
第2話では「徹底した手取り除草の実践」。
そして今回は、その延長線上で必然的に生まれた選択──
「エンジン式初期除草機」の導入 についてお話しします。
■ 手取り除草で感じた限界
無農薬栽培を始めた当初、雑草は“手で取る”しかありませんでした。
手作業の良さは、細かい雑草まで確実に抜けること。
しかし一方で、以下のような現実的な問題がありました。
- 広い面積では「追いつかない」
- 田植え後10〜20日の最も大事な時期を逃しやすい
- 腰への負担が大きく、作業時間も膨大
- 人手不足が常に課題になる
- 雑草が成長すると、後手に回るほど作業が激増する
とくに、田植え後の 初期除草(草が小さいうちに対策する) は無農薬米の品質を左右します。
この時期に“手が回るかどうか”が、米作り全体の成否を分けると言っても過言ではありません。
無農薬栽培3年目にして、「このまま手取り除草だけで続けるのは現実的ではない」
という危機感が強くなっていきました。
■ 無農薬栽培を続けるための選択肢としての“機械”
農薬を使わず、肥料にも頼らない自然栽培では、
土と水の状態を整えることが第一ですが、同時に必要なのが除草 です。
「農薬は使わない。では何を味方につけるか?」
そう考えたとき、
次に残るのは 技術 と 機械 でした。
私の場合は、次のような条件を満たすものを探しました。
- 初期の雑草を効率よく減らせること
- 田植え直後の軟らかい土でも走れること
- 圃場に負荷をかけすぎないこと
- 1人で運用できる機動力があること
これらを満たし、現場に最もフィットしたのが
エンジン式初期除草機 でした。
■ エンジン式初期除草機とは?
動力がエンジンで、田んぼの条間を進行方向を人が舵取りしながら、走らせることで
・水を動かす
・土を軽く撹拌する
・雑草の根を切る
・酸素供給で根張りを良くする
といった複合的な効果を得られる除草機です。
人力だけでは難しかった “初期の均一な除草作業” を、短時間で行えるようになることが最大のメリットです。

■ 導入して実感した変化
エンジン式初期除草機を導入してから、
圃場には確かな変化が現れました。
● 除草が「間に合う」ようになり、雑草の密度が激減

手取りでは到底不可能だったスピードで除草作業が進むため、最も重要な“初期のタイミング”を逃さなくなりました。
草が大きくなる前に対策できるので、その後の作業負担が劇的に軽くなりました。
● 稲の初期生育が安定
田面を軽く撹拌することで、見えない発芽したばかりの雑草も除草できるようになりました。
● 結果として、作業時間と体への負担は大きく軽減し、無農薬栽培を長く続けるための「持続性」も大幅に高まりました。
しかし、除草機は、あくまで自然の力を引き出すための“橋渡し”に過ぎません。
私が目指しているのは、自然の営みの中から除草に使える技術を見出し、雑草が発芽してから除草するのではなく、雑草の発芽を抑える技術あるいは、雑草が発芽しても、稲の生長が勝つ技術が最終ゴールです。
その答えに辿り着くまでの道のりの中で、私は今日も除草機を操作しながら、自然の声を聞き取り、その理(ことわり)を探り続けています。



