年度別の栽培方法まとめ|米農家中西の全記録

年度別の栽培方法まとめ|米農家中西の全記録

目的
このページでは、各年度に採用した稲作栽培方法の概要を整理し、作業目的・方針・背景と併せて一覧化しています。実際の作業日程や気象条件・作柄評価は、各政策の「栽培記録と気象データ」ページにて確認してください。

圃場情報

正式圃場名一本松5488 一本松5491 中原5513-2 中原4843 中原8863 一本松5492中原4915
圃場名(略称)ABCDEFG

【2022〜2025年の栽培方針】

この期間は 都合により作付けを縮小し、
減農薬コシヒカリ・白毛もち米を栽培していました。

無農薬・無肥料栽培は 2026 年より再開いたします。

詳しくは → 「お知らせ:2022〜2025年の栽培方針と2026年の無農薬栽培再開について」をご覧ください。

2021年の栽培方法

栽培目的・背景
2021年は雑草対策と土づくりを重視。A/B/F圃場では 乾土効果と雑草耐性強化 を狙った冬期深耕起を中心に、C/E・Dでは有機的土壌改善の発酵鶏糞投入を併用。

圃場方法備考
A/B/F深耕起(10月〜3月に計6回)
無肥料
中耕除草機
乾土効果で地力向上+雑草の塊茎抑制
C/E深耕起:2020/秋+ 2021/春
発酵鶏糞:2021/春
中耕除草機
土壌微生物活性化+土壌改善
D深耕起:2020/秋, 2021/春
発酵鶏糞:2021/春
初期除草剤1回散布
除草不要
減農薬対応+土壌改善
  • 圃場A/B/Fは無肥料・無農薬の自然栽培の為、冬期6回の深耕起により地力向上とクログワイ対策を実施
  • 圃場C/Eは発酵鶏糞による有機的土作り
  • Dは初期除草剤1回のみの減農薬管理

2020年の栽培方法

圃場方法備考
A/B/F深耕起(10月〜3月に計6回)
無肥料
中耕除草機
乾土効果で地力向上+雑草の塊茎抑制
C/E深耕起:2019/秋+2020/春
発酵鶏糞:2020/春
中耕除草機
土壌微生物活性化+土壌改善
D深耕起2019/秋, 2020/春
発酵鶏糞2020/春2020/春
初期除草剤1回
除草不要
初期除草剤1回のみ使用の減農薬対応+土壌改善
  • 圃場A/B/Fは無肥料・無農薬の自然栽培の為、冬期6回の深耕起により地力向上とクログワイ対策を実施
  • 圃場C/Eは発酵鶏糞による有機的土作り
  • Dは初期除草剤1回のみの減農薬管理

2019年の栽培方法

圃場方法肥料散布肥料散布時期
A/B/F深耕起(10月〜3月に計6回)
無肥料
中耕除草機
無肥料
C/E深耕起:2018/秋+2018/秋
発酵鶏糞:2019/春
中耕除草機
発酵鶏糞2019/春
D深耕起2018/秋, 2019/春
発酵鶏糞2018/秋2019/春
初期除草剤1回
除草不要
発酵鶏糞2019/春
  • 圃場A/B/Fは無肥料・無農薬の自然栽培の為、冬期6回の深耕起により地力向上とクログワイ対策を実施
  • 圃場C/Eは発酵鶏糞による有機的土作り
  • Dは初期除草剤1回のみの減農薬管理
2019年の栽培詳細(乾土効果・クログワイ対策・発酵鶏糞など)を見る

■ 圃場群A:自然栽培米(無肥料 × 無農薬)

  • 肥料・農薬を一切使用しない自然栽培(無農薬米)。
  • 冬期に6回の深耕起(10月〜3月)を実施し、乾土効果で地力向上。
  • 乾土効果によりアンモニア態窒素が増加し、土が持つ窒素資源を活用。
  • 複数回の深耕起により、難防除雑草クログワイの塊茎を寒さと乾燥で死滅を期待する方法。
  • 除草は中耕除草機のみ、除草剤は完全不使用。

■ 圃場群B・C:無農薬米 / 減農薬米 と 有機的土づくり

  • 化学肥料に頼らない有機的土づくりを優先。
  • 春に元肥として、150kg/10アールの発酵鶏糞を散布(2019年春)。未熟鶏糞は土中微生物により完熟化。
  • 【作業フロー】秋耕起 → 春に発酵鶏糞 → 春再耕起 → 土中で微生物発酵 → 養分化。
  • 圃場群C:初期除草剤1回のみの減農薬管理(以後除草不要)。
  • 圃場群B:農薬不使用、中耕除草機で無農薬管理。

※ 発酵鶏糞は未熟でも土中微生物により分解が進み、植物が吸収できる窒素・有機物へ変換されます。 散布後の再耕起と水管理(湛水・乾田)は分解を促す重要な工程です。

データ要約:

  • 対象年度:2019
  • 対象圃場:A(自然栽培)、B(無農薬×発酵鶏糞)、C(減農薬×発酵鶏糞)
  • 主な作業:深耕起/発酵鶏糞散布(2019春)/中耕除草機/初期除草剤(Cのみ)

2018年の栽培方法

圃場方法備考
A/B/F無肥料
深耕起:6回(2017/10~2018/3)
中耕除草機
C/E深耕起:2017/秋, 2018/春
くず大豆:2017/秋
中耕除草機
D休耕田

圃場A/B/Fでは無肥料の自然栽培で、乾土効果とクログワイ対策の為、冬期に複数回耕起と除草管理を行いました。圃場C/Eは、2017年秋に、有機肥料(くず大豆)を150kg/10アール散布した無農薬栽培です。

2018年の栽培詳細(乾土効果・クログワイ対策・くず大豆など)を見る

■ 圃場群A:自然栽培米(無肥料 × 無農薬)

  • 肥料・農薬を一切使用しない自然栽培(無農薬米)。
  • 冬期に6回の深耕起(10月〜3月)を実施し、乾土効果で地力向上。
  • 乾土効果によりアンモニア態窒素が増加し、土が持つ窒素資源を活用。
  • 複数回の深耕起により、難防除雑草クログワイの塊茎を寒さと乾燥で死滅を期待する方法。
  • 除草は中耕除草機のみ、除草剤は完全不使用。

■ 圃場群B:無農薬米と有機的土づくり

  • 化学肥料に頼らない有機的土づくりを優先。
  • 春に元肥として、150kg/10アールのくず米を散布(2018年春)。未熟鶏糞は土中微生物により完熟化。
  • 【作業フロー】秋耕起 → 春に発酵鶏糞 → 春再耕起 → 土中で微生物発酵 → 養分化。
  • 農薬不使用、中耕除草機で無農薬管理。

※ 発酵鶏糞は未熟でも土中微生物により分解が進み、植物が吸収できる窒素・有機物へ変換されます。 散布後の再耕起と水管理(湛水・乾田)は分解を促す重要な工程です。

データ要約:

  • 対象年度:2018
  • 対象圃場:A(自然栽培)、B(無農薬×発酵鶏糞)
  • 主な作業:深耕起/発酵鶏糞散布(2018春)/中耕除草機

2017年の栽培方法

圃場方法備考
A/B/F無肥料
耕起:2016/秋
冬期代掻き+冬期湛水2016/12~
中耕除草機
C/D/Eくず大豆散布:2016/秋
耕起:2016/秋
冬期代掻き+冬期湛水2016/12~
中耕除草機

2016年に収穫後、冬期代掻きを行い、稲わらを土に漉き込んだ後、冬期湛水することで、微生物活性やイトミミズの増加による「トロトロ層」の厚化を狙いました。しかし実施の結果、トロトロ層は厚く形成されましたが、逆にクログワイなどの種を土中に漉き込み、クログワイやコナギなどの発芽に酸素を必要としない種が生き残る環境を整えてしまったと推測します。雑草管理の面で失敗でした。

2017年の栽培詳細(雑草が増えた理由の推定を含む)を見る

2016年、当初は「稲わらを土中に漉き込み、冬期湛水を継続することで、微生物活動が活発化し、稲わらの分解が促進される」ことを期待していました。
分解された有機物はイトミミズのエサとなり、ミミズの糞である“トロトロ層”が厚く形成されることで、雑草発芽の抑制田んぼの富栄養化による増収につながる、と仮説を立てて実行しました。


🔍 しかし、実際には以下の要因により雑草が増えたと推定されます。

① 稲わらの分解による土壌の「過剰還元化」

稲わらを土中に漉き込み、冬期湛水下で大量の有機物(稲わら)が急速に分解すると、
土壌は酸素不足となり強い還元状態になります。

この環境は、

  • クログワイ
  • オモダカ類
    など、水田の難防除雑草が好む条件と一致します。

② クログワイの塊茎(地下球)が生き残りやすくなる

クログワイの塊茎は酸素が少ない環境に耐えるため、
冬期湛水 × 有機物分解の還元環境
が、むしろ 塊茎の越冬を助けた可能性 があります。

深耕や乾田化のように塊茎を死滅させる要因がなかったことも大きいです。

③ トロトロ層は形成されても、土中奥底から発芽に酸素を必要としないするクログワイは繁茂

イトミミズの活動は増え、トロトロ層が厚く形成されても、

  • 土中にクログワイのこぼれ種を冬期代掻きにより土中に漉き込んでしまった。
  • クログワイの発芽は二通り。こぼれ種からの発芽と前年形成された塊根からの発芽。
  • 水分を含んだ土中はクログワイの種、塊根が生存するのに好条件。

④ 冬期湛水によって雑草の発芽スイッチが入りやすい状況だった

特にクログワイは、

  • 晩秋〜初冬の湛水
  • 春先の水温上昇
    をきっかけに芽生えやすく、湛水状態がかえって発芽を助けた可能性があります。

🔎 結論:想定した“抑草メカニズム”よりも、“雑草の繁殖メカニズム”が上回った

当初の狙いであった
「発酵 → イトミミズ繁殖 → トロトロ層 → 雑草抑制」
という構図よりも、

現実には
「有機物分解 → 過剰還元 → 難雑草の越冬・発芽促進」
という作用が強く働き、クログワイなどの雑草が増加したと考えられます。

データ要約:

  • 対象年度:2017
  • 対象圃場:A/B/F(無肥料+冬期代掻き+冬期湛水) C/D/E(発酵鶏糞+冬期代掻き+冬期湛水)
  • 主な作業:発酵鶏糞散布/冬期代掻き/冬期湛水/中耕除草機

2016年の栽培方法

栽培目的・背景

2015年に確認された「発酵鶏糞+冬期湛水」によるトロトロ層形成の再現性を検証した年。前年の課題であった「無施肥圃場での激しい漏水」への対策として、不耕起に固執せず、圃場の状態(トロトロ層の厚みや雑草の量)に応じて代掻きを組み合わせる「柔軟な管理」へとシフトしました。

圃場方法備考
A / B無施肥・冬期湛水・代掻き無施肥ではトロトロ層が薄く漏水が懸念されたため、代掻きで保水力を確保。
C / E発酵鶏糞・冬期湛水・不耕起厚いトロトロ層が形成。雑草をローターで埋め込み、不耕起のまま田植え。
D / F発酵鶏糞・冬期湛水・代掻き同じ発酵鶏糞条件でも雑草(スズメノテッポウ等)が多かったため代掻きを選択。
  • トロトロ層の再現: 発酵鶏糞がエラミミズの餌となり、厚いトロトロ層を作るメカニズムが再現された。
  • 不耕起の判断基準: 理念としての不耕起ではなく、土壌の保水力(トロトロ層の厚み)と雑草の状態を見て、その都度「代掻き」を併用する実利的な判断を採用。
  • 除草: 全圃場で化学農薬不使用。中耕除草機により、特にクログワイの勢いを抑える管理を徹底。

2016年の栽培詳細(冬期湛水・不耕起と代掻きの判断・エラミミズの役割など)を見る

■ 圃場群A・B:無施肥における保水力優先の管理

  • 代掻きの復活: 無施肥条件では微生物活性が弱くトロトロ層が薄いため、前年の教訓(激しい漏水による生育遅延)を活かし、春に代掻きを行って保水力を高めることを最優先した。

■ 圃場群C・E:理想的な不耕起栽培の実現

  • 厚いトロトロ層の活用: 発酵鶏糞と冬期湛水の相乗効果で、5〜10cmの厚いトロトロ層が形成された。雑草も少なかったため、田植え機の整地ローターで表面を整えるのみで不耕起田への直接田植えに成功。

■ 圃場群D・F:雑草の状態に応じた柔軟な対応

  • 雑草対策としての代掻き: 圃場C・Eと同じ「発酵鶏糞+冬期湛水」でも、雑草(スズメノテッポウ、セリ)が繁茂した箇所については、無理に不耕起を続けず、代掻きによる物理的な除草を選択した。

データ要約:

  • 対象年度: 2016
  • 対象圃場: A/B(無施肥)、C/D/E/F(発酵鶏糞併用)
  • 主な作業: 冬期湛水/発酵鶏糞(秋散布)/プール育苗/一部不耕起・一部代掻き

2015年の栽培方法

栽培目的・背景

無施肥栽培5年目を迎え、「冬期湛水」と「土の変化」を注視した年。特に、無施肥へ移行する前段階として唯一「発酵鶏糞」を使用した圃場(F)との比較を通じて、微生物活性による「トロトロ層」の形成と、それが水持ち(漏水防止)に与える影響を検証しました。また、一部圃場では雑草(スズメノテッポウ)対策として深耕起を採用しています。

圃場方法備考
A / C / E無施肥・不耕起・冬期湛水自然栽培。冬期湛水によるトロトロ層形成を狙うも、漏水が課題に。
B / D無施肥・冬期湛水・深耕起雑草(スズメノテッポウ)対策のため、春に深耕起を実施。
F発酵鶏糞・冬期湛水・深耕起有機的土づくり。唯一肥料(発酵鶏糞)を投入し、土ごと発酵を促進。
  • 圃場A/C/Eは、前年の根穴構造による激しい漏水が発生。特に無施肥では微生物の餌が少なくトロトロ層が薄かったため、水管理に苦労し生育が遅れる要因となった。
  • 圃場Fでは、冬の低温下で発酵鶏糞を「土ごと発酵」させることで、5〜10cmもの厚いトロトロ層と豊富なイトミミズを確認。これにより不耕起に近い状態でも漏水が抑えられた。
  • 除草は全圃場で中耕除草機を使用し、化学農薬は一切使用しない無農薬管理を徹底。

2015年の栽培詳細(冬期湛水・トロトロ層・発酵鶏糞の考察など)を見る

■ 圃場群A・C・E:自然栽培(無肥料 × 無農薬)

  • 冬期湛水と不耕起の試行:前年11月から冬期湛水を実施。耕起せず田植えを行う不耕起栽培に挑戦したが、無施肥条件下ではトロトロ層の形成が不十分で、激しい漏水に見舞われた。
  • 水管理の苦労:朝入水しても夕方には干上がる状態で、常に冷たい水をかけ流すことになり、地温・水温が上がらず生育遅延を招いた。

■ 圃場群B・D:雑草対策を優先した管理

  • 深耕起の採用:スズメノテッポウ等の雑草が酷かったため、冬期湛水後に深耕起(5月初旬)を実施し、物理的に雑草を抑え込む管理を選択。

■ 圃場群F:発酵鶏糞による有機的土づくり

  • 「土ごと発酵」の理論:春に発酵鶏糞150kg/10aを散布。冬の低温を利用して穏やかに微生物分解を進めることで、ガス害を防ぎつつ良質な「トロトロ層」を形成。
  • 生物多様性の向上:イトミミズやエラミミズが爆発的に増加し、それらの糞が層を成すことで、天然の肥料供給と遮水膜(漏水防止)の役割を果たすことを実体験から学んだ。

データ要約:

  • 対象年度:2015
  • 対象圃場:A/C/E(無施肥・不耕起)、B/D(無施肥・深耕起)、F(発酵鶏糞・深耕起)
  • 主な作業:冬期湛水/発酵鶏糞散布(Fのみ)/プール育苗/中耕除草機

その他の栽培方法
1)育苗は毎年プール育苗
2)2007年のみ、深水管理実施

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