2016年の栽培記録と気象データ

2016年の栽培記録と気象データ

【2016年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)

当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。

このページでは、2016年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。

結論:伊那谷の2016年作柄

2016年産水稲は、伊那谷(長野県)で安定した作柄で推移した年 と言えます。
気象条件が大きなストレスを与えず、登熟〜成熟に適した環境であったため、収量や品質面でも平年並みの結果が期待できる作柄評価となっています。

2016年の考察|冬期湛水と発酵鶏糞が生み出す「トロトロ層」をどう活かすか

2015年冬、発酵鶏糞が生んだ明確な違い

2015年、発酵鶏糞を散布した田んぼで冬期湛水を行ったところ、春になって明らかな違いが現れた。
稲わらの上に 5〜10cmほどのトロトロ層 が形成され、手ですくうと イトミミズが10匹ほど確認できる状態 だった。

このトロトロ層は、イトミミズやエラミミズの糞が堆積したものであり、私が人為的に入れた資材ではない。
冬の間に、田んぼの中で自然が作り出した肥料 だと感じた。

一方、無施肥で冬期湛水した田んぼでもトロトロ層自体は形成されていたが、層は薄く、昨年の稲わらが透けて見える状態だった。
この差は非常に印象的で、発酵鶏糞の有無が、冬の田んぼの中で起きている「分解と堆積の質」を大きく変えていることを実感した。

2016年、圃場ごとの判断と対応

2016年は、2015年の結果を踏まえ、圃場ごとに対応を分けた。

無施肥+不耕起+冬期湛水(圃場A・B)

無施肥の不耕起田では、冬期湛水をしてもトロトロ層が薄く、前年の稲の根穴構造による漏水が懸念された。
そのため2016年は、代掻きを行い、田んぼの保水力を確保することを優先 した。

無施肥で不耕起を続ける場合、トロトロ層の厚みが十分でなければ、水管理の不安定さが生育に影響すると判断したからである。

無施肥+冬期湛水の圃場
無施肥+冬期湛水の圃場A・B:冬の間、用水が十分な水量確保出来た為、地肌が出ることなく湛水出来た。雑草は少ないが、トロトロ層の厚さが十分でない為、代掻きをして、保水力を高めた後、田植え

発酵鶏糞散布+不耕起+冬期湛水(圃場C・E)

一方、発酵鶏糞を散布し、冬期湛水を行った圃場では、
厚いトロトロ層が形成され、スズメノテッポウやセリといった雑草が明らかに少なかった。

それでも、少しは雑草が目立ったので、田んぼで田植え機を一回走らせ、田植え機のローターで、雑草をトロトロ層の中に埋め込み、整地した。

この状態であれば、不耕起のまま田植えをしても問題ないと判断し、
代掻きを行わず、不耕起田への田植え を選択した。

冬の間、用水の水量が十分確保できず、雑草が少し生えている圃場を田植え機の整地ローターで整地している様子
雑草が少ない為、田植え前に、田植え機の整地ローターで、雑草をトロトロ層の中に埋め込んだ後、田植えをした。
田植え機の整地ローターで、整地後の様子。
田植え前に、田植え機の整地ローターで、整地後の様子。雑草をトロトロ層の中に埋め込むことが出来た。この状態で、田植えをした。

発酵鶏糞散布+不耕起+冬期湛水(圃場D・F)

同じ条件でも、圃場によって結果は一様ではなかった。
圃場D・Fでは、スズメノテッポウやセリが多く、雑草の影響が無視できなかった。

このため、2016年は 代掻きによって一度除草を行ったうえで田植え を行った。
不耕起に固執せず、その年の圃場の状態を見て判断することを優先した。

冬の間、用水の水量が十分確保出来ず、雑草が大きくなっている圃場の様子
雑草が大きく、田んぼ一面に繁茂していた為、トラクターで代掻き後、田植えをした。

再現できた「発酵鶏糞+冬期湛水」の効果

2016年の結果として、
発酵鶏糞を散布し、不耕起田で冬期湛水を行うと、エラミミズが大量に発生し、厚いトロトロ層が形成される
という現象は、再現できたと感じている。

これは偶然ではなく、

  • 冬期湛水
  • 発酵鶏糞が、エラミミズの餌となった
  • エラミミズの排泄物が、厚いトロトロ層を形成

という条件がそろった結果だと考えている。

発酵鶏糞散布→不耕起田へ冬期湛水した圃場のトロトロ層にエラミミズが観察できた
圃場C・D・E・Fでは、トロトロ層をすくい上げると、エラミミズが観察できた。

2016年時点での結論

2015年の経験を経て、2016年に私がたどり着いた考えはこうだ。

  • 無施肥・不耕起を成立させるには、トロトロ層の厚みが鍵
  • 発酵鶏糞は、春に効かせる肥料ではなく、冬に仕込む土づくりの材料
  • 不耕起か代掻きかは、理念ではなく、その圃場の状態で判断する

2016年は、無農薬・無施肥栽培において、
「土がどう反応しているかを見て判断する」 という姿勢を、より強く意識する一年になった。

この先も、同じ条件を積み重ねながら、土の変化を丁寧に見続けていきたいと思っている。

圃場別栽培条件

圃場(正式名)一本松5488一本松5491中原5513-2中原4843中原8863一本松5492
圃場記号ABCDEF
作付品種コシヒカリ/古代米/白毛もち米コシヒカリコシヒカリコシヒカリコシヒカリササニシキ
栽培方法無施肥 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草無施肥 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 田植え → 除草発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 田植え → 除草発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草
備考

2016年の栽培記録

日付作業内容圃場備考
2015/11/22~冬期湛水A
2015/11/22~冬期湛水B
2015/11/16~冬期湛水C
2015/11/16~冬期湛水D
2015/11/16~冬期湛水E
2015/11/22~冬期湛水F
2016/3/21~4/1浸種屋外
2016/4/9播種ハウス
2016/4/9~5/14プール育苗ハウス
耕起A
耕起B
耕起C不耕起
2016/5/8耕起D
耕起E不耕起
耕起F
元肥散布A無施肥の為、元肥無し
元肥散布B無施肥の為、元肥無し
2015/10/25元肥散布C発酵鶏糞
2015/10/25元肥散布D発酵鶏糞
2015/10/25元肥散布E発酵鶏糞
2015/10/25元肥散布F発酵鶏糞
入水A冬期湛水の時、入水
入水B冬期湛水の時、入水
入水C冬期湛水の時、入水
入水D冬期湛水の時、入水
入水E冬期湛水の時、入水
入水F冬期湛水の時、入水
2016/5/5代掻きA
2016/5/5代掻きB
代掻きC不耕起の為、代掻き無し
2016/5/8代掻きD
代掻きE不耕起の為、代掻き無し
2016/5/5代掻きF
2016/5/21田植えA
2016/5/21田植えB
2016/5/29田植えC不耕起田へ田植え
2016/5/29田植えD
2016/5/29田植えE不耕起田へ田植え
2016/5/21田植えF
2016/5/21~9/3水管理A
2016/5/21~9/3水管理B
2016/5/29~9/3水管理C
2016/5/29~9/3水管理D
2016/5/29~9/3水管理E
2016/5/21~9/3水管理F
時期未記録除草A
時期未記録除草B
時期未記録除草C
時期未記録除草D
2016/6/4除草D
2016/6/11除草D
2016/6/25除草D
時期未記録除草E
時期未記録除草F
2016/9/3落水A
2016/9/3落水B
2016/9/3落水C
2016/9/3落水D
2016/9/3落水E
2016/9/3落水F
時期未記録稲刈りA
時期未記録稲刈りB
時期未記録稲刈りC
時期未記録稲刈りD
時期未記録稲刈りE
2016/9/17稲刈りF
時期未記録乾燥A機械乾燥
時期未記録乾燥B機械乾燥
時期未記録乾燥C機械乾燥
時期未記録乾燥D機械乾燥
時期未記録乾燥E機械乾燥
2016/9/17~10/9乾燥F
脱穀A機械乾燥の為、不要
脱穀B機械乾燥の為、不要
脱穀C機械乾燥の為、不要
脱穀D機械乾燥の為、不要
脱穀E機械乾燥の為、不要
2016/10/10脱穀F

2016年 伊那市の月ごとの気象データ(概算)

平均気温 (°C) 降水量 (mm)
1月4.047.5
2月8.096.0
3月10.056.5
4月12.6275.5
5月18.6147.5
6月20.8152.5
7月24.7102.0
8月25.8122.5
9月22.1296.0
10月15.0140.5
11月7.389.0
12月3.0115.5
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