2017年の栽培記録と気象データ

【2017年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)
当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。
このページでは、2017年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。
2017年 伊那市:一般米の作柄概況
- 前半(4月〜8月): 気温が高く日照も十分だったため、苗の活着から成長まで極めて順調に推移し、豊作が期待される状況でした。
- 後半(9月〜10月): 10月に記録的な大雨(416.5mm)に見舞われ、一般農家では収穫作業の遅延や、長雨による穂発芽・未熟粒といった品質低下に悩まされる結果となりました。
- 総括: 順調な生育を見せたものの、最終的には「秋の異常気象」によって収穫適期の判断が明暗を分けた年といえます。
冬期湛水の限界と、クログワイ異常発生の真実
理想を掲げた「冬期代掻き」の誤算
2017年、私はさらなる土づくりの進化を目指し、全圃場で2016年晩秋に、冬期湛水前の「冬期代掻き」を断行しました。狙いは明確でした。稲わらをあらかじめ土中に漉き込むことで、冬の間の分解を早める効果を期待したのです。
特にCDE圃場には、トロトロ層形成の主役であるミミズを大量発生させるため、餌となる発酵鶏糞を散布しました。これらを稲わらと共に冬期湛水前に漉き込むことで、従来の不耕起による冬期湛水よりも、さらに厚く豊かなトロトロ層が形成できるのではないかと考えたのです。

【定点観察】冬期代掻きによるトロトロ層への影響
トロトロ層の形成具合を正確に把握するため、私は圃場に緑の棒を立てて定点観測を行いました。その結果、土中に漉き込まれきれなかった稲わらが、ほぼトロトロ層で覆われていることが確認できました。
この観測写真を見る限り、冬期代掻きそのものはトロトロ層の形成において悪影響を及ぼしていないと言えます。


過去に経験のない、クログワイの「芽吹きの海」
しかし、春の田植え後に私を待っていたのは、過去に一度も目にしたことのない異様な光景でした。全圃場でクログワイが異常発生。それは、よく見る太い茎ではなく、種(塊茎)から発芽したと思われる「か細い糸のような芽」が無数に地表を埋め尽くす、まさに「芽吹きの海」でした。なかでも最もひどかったのが圃場Dです。以前からクログワイが最も多く繁茂していた場所でしたが、良かれと思って行った冬期代掻きが、皮肉にもクログワイにとってこれ以上ないほど快適な「ゆりかご」になってしまったのです。


深刻な連鎖:除草作業の遅れとコナギの繁茂
最優先事項となったCDE圃場のクログワイ駆除に、文字通り忙殺される日々が続きました。しかし、その裏でさらなる悲劇が起きていました。
クログワイ対策に全力を注いでいる間に、今度は圃場ABFでクログワイと共にコナギが急激に生長。気がついた時には一面に繁茂しており、もはや除草が追いつかないという、かつてないほど絶望的な状態に陥ってしまったのです。


「冬期代掻き」が招いた雑草の保護
なぜ、抑草を狙った技術がこれほどまで逆の結果を招いたのか。自分なりにたどり着いた結論は、冬期代掻きがクログワイの種を土中深くへと「避難」させてしまったことにありました。
本来なら、種は地表表面に残り、冬期湛水中の水の冷たさによって死滅するはずでした。しかし、私は代掻きによって種を土の中へと優しく守り、さらに湛水という「水の毛布」をかけることで、伊那の厳しい冬の凍結から保護してしまったのです。
冬期湛水の限界と、新たなる「攻め」への転換
「冬期代掻き+冬期湛水」という組み合わせは、雑草を抑えるどころか、その生存率を極限まで高めてしまいました。この経験を通じて、私は冬期湛水という技術の限界、そして自然を相手にする危うさを骨身に染みて理解しました。どれほど手間をかけても、自然の摂理を見誤れば、それはすべて裏目に出るのです。
私はこの日を境に、長年信じてきた冬期湛水を卒業することを決意しました。
クログワイは水分が多い場所を好み、寒さや乾燥には弱い。 その特性を深く再認識した私は、来年から「冬期の寒さ」と「乾燥」をキーワードにしたクログワイ駆除に挑みます。冬の厳しさを利用して雑草を叩き、同時に冬期の緩やかな分解発酵を活かした土作りを両立させる。そんな理想の栽培方法を模索する、新たなる挑戦がここから始まります。
圃場別栽培条件
| 圃場(正式名) | 一本松5488 | 一本松5491 | 中原5513-2 | 中原4843 | 中原8863 | 一本松5492 |
| 圃場 | A | B | C | D | E | F |
| 作付品種 | コシヒカリ/古代米/白毛もち米 | コシヒカリ | コシヒカリ | コシヒカリ | コシヒカリ | ササニシキ |
| 栽培方法 | 無施肥 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草 | 無施肥 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草 | 発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 田植え → 除草 | 発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 田植え → 除草 | 発酵鶏糞散布 → 不耕起田へ冬期湛水 → 田植え → 除草 | 無施肥 → 不耕起田へ冬期湛水 → 代掻き → 田植え → 除草 |
| 備考 |
2017年の栽培記録
| 日付 | 作業内容 | 圃場 | 備考 |
| 2016/12/4 | 冬期代掻き | A | |
| 2016/12/10 | 冬期代掻き | B | |
| 2016/11/27 | 冬期代掻き | C | |
| 2016/11/27 | 冬期代掻き | D | |
| 2016/11/27 | 冬期代掻き | E | |
| 2016/12/11 | 冬期代掻き | F | |
| 2016/12/4~ | 冬期湛水 | A | |
| 2016/12/4~ | 冬期湛水 | B | |
| 2016/11/27~ | 冬期湛水 | C | |
| 2016/11/27~ | 冬期湛水 | D | |
| 2016/11/27~ | 冬期湛水 | E | |
| 2016/12/11~ | 冬期湛水 | F | |
| 2017/4/2~4/7 | 浸種 | 屋外 | |
| 2017/4/8 | 播種 | ハウス | |
| 2017/4/8~5/13 | プール育苗 | ハウス | |
| 耕起 | A | 冬期代掻きを実施の為、未実施 | |
| 耕起 | B | 冬期代掻きを実施の為、未実施 | |
| 耕起 | C | 冬期代掻きを実施の為、未実施 | |
| 耕起 | D | 冬期代掻きを実施の為、未実施 | |
| 耕起 | E | 冬期代掻きを実施の為、未実施 | |
| 耕起 | F | 冬期代掻きを実施の為、未実施 | |
| 元肥散布 | A | 無施肥の為、元肥無し | |
| 元肥散布 | B | 無施肥の為、元肥無し | |
| 2016/11/13 | 元肥散布 | C | |
| 2016/11/13 | 元肥散布 | D | |
| 2016/11/13 | 元肥散布 | E | |
| 元肥散布 | F | 無施肥の為、元肥無し | |
| 2016/12/4 | 入水 | A | 冬期代掻きの時、入水 |
| 2016/12/10 | 入水 | B | 冬期代掻きの時、入水 |
| 2016/11/27 | 入水 | C | 冬期代掻きの時、入水 |
| 2016/11/27 | 入水 | D | 冬期代掻きの時、入水 |
| 2016/11/27 | 入水 | E | 冬期代掻きの時、入水 |
| 2016/12/11 | 入水 | F | 冬期代掻きの時、入水 |
| 代掻き | A | 冬期代掻き実施の為、未実施 | |
| 代掻き | B | 冬期代掻き実施の為、未実施 | |
| 代掻き | C | 冬期代掻き実施の為、未実施 | |
| 代掻き | D | 冬期代掻き実施の為、未実施 | |
| 代掻き | E | 冬期代掻き実施の為、未実施 | |
| 代掻き | F | 冬期代掻き実施の為、未実施 | |
| 2017/5/20 | 田植え | A | |
| 2017/5/20 | 田植え | B | |
| 2017/5/21 | 田植え | C | |
| 2017/5/21 | 田植え | D | |
| 2017/5/21 | 田植え | E | |
| 2017/5/20 | 田植え | F | |
| 2017/5/20~9/2 | 水管理 | A | |
| 2017/5/20~9/2 | 水管理 | B | |
| 2017/5/21~9/2 | 水管理 | C | |
| 2017/5/21~9/2 | 水管理 | D | |
| 2017/5/21~9/2 | 水管理 | E | |
| 2017/5/20~9/2 | 水管理 | F | |
| 時期未記録 | 除草 | A | |
| 時期未記録 | 除草 | B | |
| 時期未記録 | 除草 | C | |
| 2017/6/4 | 除草 | D | |
| 2017/7/1 | 除草 | D | |
| 時期未記録 | 除草 | E | |
| 2017/7/23 | 除草 | F | |
| 2017/9/3 | 落水 | A | |
| 2017/9/3 | 落水 | B | |
| 2017/9/4 | 落水 | C | |
| 2017/9/5 | 落水 | D | |
| 2017/9/6 | 落水 | E | |
| 2017/9/7 | 落水 | F | |
| 時期未記録 | 稲刈り | A | |
| 時期未記録 | 稲刈り | B | |
| 時期未記録 | 稲刈り | C | |
| 時期未記録 | 稲刈り | D | |
| 時期未記録 | 稲刈り | E | |
| 2017/9/18 | 稲刈り | F | |
| 時期未記録 | 乾燥 | A | 機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | B | 機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | C | 機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | D | 機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | E | 機械乾燥 |
| 2017/9/18~9/23 | 乾燥 | F | |
| 脱穀 | A | 機械乾燥の為、不要 | |
| 脱穀 | B | 機械乾燥の為、不要 | |
| 脱穀 | C | 機械乾燥の為、不要 | |
| 脱穀 | D | 機械乾燥の為、不要 | |
| 脱穀 | E | 機械乾燥の為、不要 | |
| 2017/9/24 | 脱穀 | F |
2017年 伊那市の月ごとの気象データ(概算)
| 月 | 平均気温 (°C) | 降水量 (mm) |
|---|---|---|
| 1月 | -1.2 | 54.5 |
| 2月 | 0.1 | 52.0 |
| 3月 | 3.6 | 82.5 |
| 4月 | 10.7 | 161.5 |
| 5月 | 16.8 | 104.5 |
| 6月 | 18.6 | 109.5 |
| 7月 | 24.0 | 253.5 |
| 8月 | 24.3 | 114.5 |
| 9月 | 19.7 | 145.0 |
| 10月 | 13.1 | 416.5 |
| 11月 | 6.7 | 35.5 |
| 12月 | 0.4 | 15.5 |
- お米の栽培記録・気象データ一覧↗
- 2016年の栽培記録↗
- この年の経験は、その後の無農薬米栽培における栽培方法の判断に大きな影響を与えています。
→2018年の栽培記録はこちら - 2019年の栽培記録↗

