2026年の栽培記録と気象データ

2026年の栽培記録と気象データ

この記事は、長野県伊那谷で
無農薬米づくりを20年以上続ける農家が、
2026年の作柄と気象を記録する一次資料です。

【2026年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)

当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。

このページでは、2026年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。

2026年 伊那市:一般米の作柄概況

このページは進行中の記録で、随時更新します

【現在の栽培方法の結論】無農薬・無肥料栽培(自然栽培)は冬期の複数回耕起で安定しました(最新版)

土の生命力を信じ、引き出す「無農薬・無肥料栽培」

米農家中西では、農薬や化学肥料はもちろん、動物性の有機肥料も一切使用しない「自然栽培」に取り組んでいます。当農家が目指すのは、肥料で太らせたお米ではなく、土本来の力でたくましく育った、生命力あふれるお米です。

1. 独自の土づくり:冬期月1回の「深呼吸」

「無肥料は何もしないこと」ではありません。私は、稲が休んでいる冬の間こそ、土との対話が重要だと考えています。

  • 冬期耕起(10月〜3月 / 月1回) 厳冬期に月1回、丁寧に田んぼを耕します。これにより、土の中に新鮮な酸素を送り込み、肥料の代わりとなる「好気性微生物」の活動を助けます。
  • 寒さを味方につける 土を反転させ、伊那の厳しい寒風にさらすことで、病害虫や雑草の種(特に雑草:クログワイの塊根)を自然に抑える「天然の防除」を行っています。

2. データが証明する「土の回復力」

以下のグラフは、私が実際に栽培方法を切り替えた際の玄米の収穫量の推移です。単なる理想ではなく、事実に基づいた米作りを行っています。

  • 2016年(450kg/8a):発酵鶏糞(120kg)を使用していた時期
  • 2017年(200kg/8a):無肥料に転換し、秋の1回耕起のみだったため、収量が激減
  • 2018年〜(350kg/8a〜)冬期耕起を月1回取り入れたことで、無肥料のまま収量がV字回復しました

この結果は、人間の知恵(管理)と土の生命力が合致したときに、お米は自律的に育つことができるという証明です。

3. 安心・安全へのこだわり

  • 農薬・除草剤:不使用 田んぼの生態系を壊さないよう、一切の薬剤を使用しません。
  • 肥料(化学・有機):不使用 外部からの資材に頼らず、田んぼの中での資源循環を大切にしています。

当農家では冬期に複数回(目安:5〜6回)の深耕起を行い、肥料・農薬を使わずに稲を育てています。耕起により稲わらの分解と微生物の活性化を促し、無肥料でも安定した収量を確保できるようになりました。

冬期複数回耕起を実施後、無肥料でも平均300〜350kg(玄米重量)/8a前後を確保できるようになりました。

冬期複数回耕起の導入前後の収量比較

初年度(冬期耕起1回)は収量が極端に低下しましたが、毎年6回の冬期耕起を続けた結果、収量は増加し、無肥料でも安定するようになりました。

無農薬・無肥料栽培の玄米の収穫量推移(kg/8アール)

無農薬・無肥料栽培の玄米の収穫量推移(kg/8アール)

年度 栽培方法 収量(kg/8a)
2016年発酵鶏糞散布450
2017年無肥料(秋の耕起1回のみ)200
2018年無肥料(冬期耕起複数回)350
2019年無肥料(冬期耕起複数回)300
栽培区分・年度玄米収穫量/8アール評価備考・コメント
慣行栽培(長野県平均)約 424 kg基準農薬・化学肥料を使用する一般的な基準値(10aあたり530kg換算)。
2016年:発酵鶏糞120kg散布408kg優秀無農薬・有機肥料栽培。慣行栽培の基準に迫る非常に高い収穫量。
2017年:無肥料(秋耕起1回)168kg試練無肥料栽培への挑戦初年度。
2018年:無肥料(冬期複数回)384kg躍進冬期の複数回耕起が功を奏し、無肥料ながら驚異的な回復を見せた年。
2019年:無肥料(冬期複数回)288kg安定自然栽培としての地力が定着。環境と調和した持続可能な収量の形。
一般的な有機栽培約 280kg標準全国の無農薬・有機肥料栽培における平均的な指標。
自然栽培(無肥料)約 240kg目標肥料を一切与えない栽培方法での全国的な平均指標。

現在の自然栽培のスタイル(要点)

  • 冬期湛水・不耕起栽培に注力した時期に実践した冬期の微生物の活動で土が肥える知識を活かしている
  • 冬期:複数回深耕起(年間5〜6回を目安)による雑草塊根駆除・稲わらの分解・土ごと発酵の促進
  • 無肥料・無農薬での栽培
  • 乾土効果を活かした土作り
  • 冬期の微生物の働きを重視した自然循環型

現在の無農薬で有機肥料を使った栽培のスタイル(要点)

  • 無農薬栽培を始めた当初注力し、実践した”有機発酵肥料作り”の知識が活きている
  • 秋収穫後:発酵鶏糞を散布(微生物の餌として与える程度 ⇒ 稲わらを分解してもらう)
    • 発酵鶏糞は臭い⇒まだ未熟 ⇒ 微生物の餌としては未熟なものが良い ⇒ 冬期に微生物による発酵が進む余地がある。(重要なポイント)
  • 発酵鶏糞散布後、一回耕起して、土・稲わら・発酵鶏糞を混ぜる
  • 冬期:土・稲わら・発酵鶏糞が ”土ごと発酵” する。
  • 無農薬での栽培
  • 冬期の微生物の働きを重視した自然循環型

現在の減農薬で有機肥料を使った栽培(特別栽培米)のスタイル(要点)

  • 秋収穫後:発酵鶏糞を散布(微生物の餌として与える程度 ⇒ 稲わらを分解してもらう)
    • 発酵鶏糞は臭い⇒まだ未熟 ⇒ 微生物の餌としては未熟なものが良い ⇒ 冬期に微生物による発酵が進む余地がある。(重要なポイント)
  • 発酵鶏糞散布後、一回耕起して、土・稲わら・発酵鶏糞を混ぜる
  • 冬期:土・稲わら・発酵鶏糞が ”土ごと発酵” する。
  • 減農薬での栽培
  • 冬期の微生物の働きを重視した自然循環型
  • 消費者目線に立った良心的な価格のお米の提供

2026年 栽培記録:土の力を最大化する「能動的介入」の設計図

【農主の独白】

私は、誰かに美味しいと言ってもらうために米を作っているのではないです。 伊那の厳しい自然循環をどうデザインし、稲が持つ本来の力をどこまで引き出せるか。 自分の理想とする「白い根」と「土の生命力」をどこまで再現できるか。 この記録は、私の知的好奇心と自己満足を追求した「実験の軌跡」です。

一般的な自然栽培とは、無農薬、無肥料で、秋か春に最小限の耕起をして、代掻き、田植え、除草作業をして、あとは自然循環というよくわからないものに任せる「見守る栽培方法」だと理解しています。私はあえて、自然の厳しさを力に変える「能動的介入」という新たな道を歩みます。

一般的に自然栽培の世界では、秋や春に最小限の耕起を行い、あとは土の力に委ねる手法が尊ばれています。それは自然の推移を尊重する、一つの完成された姿です。しかし私は2018年から現在に至るまで、信州伊那の厳しい気象条件をより積極的に活用し、稲が本来持つポテンシャルを引き出すための「自然の営みを巧みに利用する設計図」を実践してきました。

「不耕起の白い根」の正体と、慣行的な春耕起の矛盾

私の探求の原点は、かつて経験した不耕起の土にあります。 地表にこぼれた籾が湿った土で芽吹き、真っ白な根を地中に伸ばしていく。この「白い根」が維持される最大の理由は、ワラが土の中に「入っていない」からです。野生の環境では、ワラは常に地表にあり、土中へ強制的に埋め込まれることはありません。だからこそ、根が伸びる土の中は常にクリーンで、酸素が保たれているのです。

一方で、世間一般で行われる「春の一回限りのワラ漉き込み」は、自然界では起こり得ない未分解有機物の大量埋没です。冬の間、地表で手付かずだったワラを春に一気に土へ閉じ込める。これが、入水直後の土中で爆発的な腐敗を招き、稲に「茶色の根(窒素飢餓とガス湧き)」を強いる主因となります。私は、この「不自然な埋没」が生む弊害を打破したいのです。

当農家の田んぼの湿った土の上で、芽吹いた稲の籾
当農家の半不耕起に耕した田んぼで育った稲は白い根を持っている
当家の不耕起田及び半不耕起田の稲の根は、白色でした
当家で、無農薬の稲でも、稲わらを土中に漉き込めば、根は茶色でした。
当家で、無農薬の稲でも、稲わらを土中に漉き込めば、根は茶色でした。

設計図A:冬期6回耕起による「能動的自然栽培」

この設計図のゴールは、**「有機態窒素の爆発」と「ガス湧きのない、白い根を持った稲作り」**です。

不耕起が「ワラを土に入れない」ことで白い根を守るのに対し、私の設計図Aは、**「あえてワラを土に混ぜながら、入水前に土の一部へ変え切る」**という挑戦です。

稲に最速の「道」を用意する 有害ガスがなく、物理的に柔らかく砕かれた土壌には、根を阻む壁がありません。不耕起が数年かけて作る「古い根穴」を待つのではなく、今年の稲が自ら真っ白な根を爆速で垂直に伸ばせる「最高の舞台」を先回りして用意する。それが私の「能動的介入」の本質です。

ワラを土の「貯金」へ作り替える 冬の間に5回耕起を繰り返すのは、ワラを土中の微生物に何度も「食わせる」ためです。凍結と乾燥が繰り返される過酷な環境下で、ワラを単なる「ゴミ(腐敗物)」から、良質な「有機態窒素(微生物の死骸)」という土の貯金へと能動的に作り替えていきます。

入水時の「酸素ドロボー」を根絶する 何度も空気に触れさせ、入水前に分解(酸化)を終わらせておくことで、田植え後の土中での急激な腐敗を防ぎます。これにより、不耕起の土と同じように、根の細胞を傷つける有害ガスや酸素不足のないクリーンな環境を、耕起した土の中で実現します。

設計図B:ヘアリーベッチによる「緑肥栽培」

この設計図は、**「除草機に頼らない抑草」「自給的な肥料成分の供給」**を二つの柱としています。

無農薬栽培において雑草への対処は除草機を用いるのが一般的ですが、私はかつて不耕起栽培において、トロトロ層と藻の遮光効果により、全く除草を必要としない現象を経験しています。私にとって除草機は「必然」ではありません。

2026年はヘアリーベッチを採用しました。春に大きく育ったベッチを刈り取り、地表を厚く覆うことで日光を遮断する**「マルチ効果」と、そこから溶け出す天然の除草成分「アレロパシー(他感作用)」**を組み合わせ、雑草の発生を根源から抑え込みます。さらに、ベッチが空から取り込んだ窒素成分を土に還すことで、外部に頼らない天然の栄養供給も同時に実現します。生態系の力をデザインすることで、あの時見た「除草不要の水田」を再現し、力強い稲を育てる試みです。

ヘアリーベッチが繁茂した当家の田んぼ
当家の田んぼで繁茂したヘアリーベッチ

設計図Bについては、以下のページで設計図と進捗状況を詳しく解説しています。

進捗状況を以下のリンクから詳しく見る

無農薬米農家としての醍醐味

正直に言えば、この二つの設計図の内、設計図Aのワラを単なる「ゴミ(腐敗物)」から、良質な「有機態窒素(微生物の死骸)」という土の貯金へと能動的に作り替える。このことは、過去に記録した玄米収量の変化が裏付けになり、実証されていると確信しています。しかし、白い根になるかはまだわかりません。

設計図Bは100%成功するかはまだ分かりません。しかし、今までの20年の無農薬米栽培で培った知恵を、伊那の厳しい冬と現代の技術で凝縮し、稲がその生命力を最大限に発揮できる環境を求めて試行錯誤すること。

そのプロセスの中にこそ、自然の営みを巧みに利用する――。 「自然循環を無農薬米農家自身がデザインすること」こそが、無農薬米農家としての醍醐味だと信じています。 私はその誇りを胸に、この記録を刻み続けます。

追伸:

ここに記した設計図は、あくまで私自身の納得のために描いたものです。

ですが、もしこの「自己満足の追求」から生まれた結果に興味を持ち、私の描いた自然循環の結晶を、一度確かめてみたいという方がいらっしゃれば。

その方の食卓に、このお米が届くことは、私にとっても一つの喜びかもしれません。

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設計図Aの実践中間報告:【データで証明する】冬期耕起による稲わらの消失

時期耕起回数圃場の写真稲わらの割合(目測)状態の考察
2025/10/271回目冬期耕起1回目の田んぼの様子約 95%収穫直後。ワラが地表を覆い尽くしている
2025/11/202回目冬期耕起2回目の田んぼの様子約 40%土とワラが混ざり、分解がスタート
2025/12/193回目冬期耕起3回目の田んぼの様子約 25%ワラの輪郭が崩れ、土に抱き込まれる
2026/01/174回目冬期耕起4回目の田んぼの様子約 10%以下ワラが消失し、ふかふかの土へ
5回目
6回目

圃場別栽培条件

圃場(正式名)一本松5488一本松5491中原5513-2中原4843中原8863一本松5492中原4915
圃場ABCDEFG
作付品種コシヒカリ/白毛もち米ササシグレコシヒカリ白毛もち米コシヒカリ亀の尾コシヒカリ
栽培方法無施肥 → 冬期複数回耕起 → 代掻き → 田植え → 除草無施肥 → 冬期複数回耕起 → 代掻き → 田植え → 除草発酵鶏糞散布 →耕起→代掻き→田植え発酵鶏糞散布 →耕起→代掻き→田植え発酵鶏糞散布 →耕起→代掻き→田植え耕起→ヘアリーベッチ播種→ ヘアリーベッチ刈取り→田植え →除草発酵鶏糞散布 →耕起→代掻き→田植え
備考無農薬自然栽培無農薬自然栽培初期除草剤1回初期除草剤1回初期除草剤1回無農薬緑肥栽培初期除草剤1回

2026年の栽培記録

日付作業内容圃場備考
元肥散布A自然栽培の為、元肥散布しない
元肥散布B自然栽培の為、元肥散布しない
2025/10/17元肥散布C発酵鶏糞
2025/10/21元肥散布D発酵鶏糞
2025/10/17元肥散布E発酵鶏糞
2025/10/14ヘアリーベッチ播種F
2025/10/23元肥散布G発酵鶏糞
2025/10/28冬期耕起A1回目
2025/11/20冬期耕起A2回目
2025/12/19冬期耕起A3回目
2026/1/17冬期耕起A4回目
冬期耕起A5回目
冬期耕起A6回目
2025/10/27冬期耕起B1回目
2025/11/20冬期耕起B2回目
2025/12/19冬期耕起B3回目
2026/1/17冬期耕起B4回目
冬期耕起B5回目
冬期耕起B6回目
2025/10/26耕起C
2025/10/29耕起D
2025/10/26耕起E
2025/10/10耕起F
2025/10/30耕起G

2026年 伊那市の月ごとの気象データ(概算)

このページは進行中の記録で、随時更新します

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