2011年の栽培記録と気象データ
【2011年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)
当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。
このページでは、2011年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。
2011年 不耕起田・無施肥栽培の考察
― 冬期湛水とトロトロ層が示した可能性と課題 ―
2011年 伊那谷の気象概観と一般作柄傾向
2011年における伊那市周辺の気象データを確認すると、年間を通じて極端な低温・高温や局所的大雨などの異常は大きくは見られませんでした(気象庁公開データより)。実際、2011年の気温・降水量は、過去の長期値と比べても大きな偏差はなく、全般に平年並みの気象条件でした。
このような気象条件は、稲の生育にとって致命的なストレスを与えるような極端な要因がほとんどなく、安定した成育を促し、「平年並み〜やや良好」**の傾向でした。
すべての圃場を不耕起・無施肥へ
昨年、ひとつの田んぼで不耕起田への田植えができた経験から、2011年はすべての圃場を不耕起とし、さらに無施肥での栽培に踏み切った。前年は冬期湛水前に、10アール当たり150kgの発酵鶏糞を散布していたが、この年は一切の施肥を行わなかった。その結果、冬期湛水後に形成されたトロトロ層の厚さは、前年と比べて明らかに薄くなっていた。
ミミズがつくるトロトロ層
冬期湛水した田んぼでは、収穫後に一面を覆っていた稲わらの上に、トロトロした層が形成されていた。
稲わらはミミズの住処となり、ミミズは土中の有機物や、冬期湛水前に散布した発酵鶏糞を餌として活動し、その排泄物を稲わらの上に堆積させていたと考えられた。このミミズの糞が、いわゆるトロトロ層を形成し、天然の肥料として機能していた。
無施肥がミミズの活動に与えた影響
一方で、2011年は無施肥であったため、ミミズの餌となる有機物が限られていた可能性が高いと感じた。稲わら自体は水中に残っていたものの、前年ほどトロトロ層が厚くならなかったことから、餌の有無がイトミミズやエラミミズの繁殖や活動量に影響していた可能性は大きいと考えられた。
不耕起田での田植え作業の試行錯誤
田植えは、冬期湛水後の田んぼの状態が圃場ごとに大きく異なり、すんなり植え付けできた田んぼもあれば、うまく苗が刺さらず、見るも無残な状態になった田んぼもあった。
その際、最新型の田植え機を借りて作業を行った。この田植え機には、植え付け部の前にロータが付いており、田面をかき回して苗が刺さる程度まで土を柔らかくしてくれた。本来は車輪跡を整地するための装置だが、不耕起田でも十分に機能し、結果として期待以上の植え付けができた。


無施肥栽培で感じた収量面の課題
無施肥・不耕起という条件の中で栽培を終えてみると、全体として収量は少なかったように感じられた。イトミミズが排泄する糞だけに頼った栽培では、肥効が不足していた可能性があると考えた。
稲わらがミミズの住処となり、自然の循環が確かに働いていることは実感できたが、安定した収量を得るためには、餌となる有機物の供給について再検討が必要だと感じた。
次年度へ向けて見えてきたテーマ
この年の取り組みにより、不耕起・冬期湛水・無施肥という栽培の可能性と同時に、課題もはっきりと見えてきた。トロトロ層の形成とミミズの活動を、どのように維持し、どう強化していくか。それが次年度への大きなテーマとなった。
圃場別栽培条件
| 圃場(正式名) | 一本松5488 | 一本松5491 | 中原5513-2 | 中原4843 | 中原8863 |
|---|---|---|---|---|---|
| 圃場 | A | B | C | D | E |
| 作付品種 | コシヒカリ/古代米/白毛もち米 | コシヒカリ | コシヒカリ | コシヒカリ | コシヒカリ |
| 栽培方法 | 不耕起田へ冬期湛水 → 不耕起田に田植え → 除草作業不要 | 不耕起田へ冬期湛水 → 春に半不耕起 → 田植え → 除草作業不要 | 不耕起田へ冬期湛水 → 不耕起田に田植え → 除草作業不要 | 不耕起田へ冬期湛水 → 不耕起田に田植え → 除草作業不要 | 不耕起田へ冬期湛水 → 不耕起田に田植え → 除草作業不要 |
| 備考 |
2011年の栽培記録
| 日付 | 作業内容 | 圃場 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2010/10/16~ | 冬期湛水 | C | |
| 2010/10/16~ | 冬期湛水 | D | |
| 元肥散布 | A | 元肥散布無し | |
| 元肥散布 | B | 元肥散布無し | |
| 元肥散布 | C | 元肥散布無し | |
| 元肥散布 | D | 元肥散布無し | |
| 元肥散布 | E | 元肥散布無し | |
| 耕起 | C | 不耕起 | |
| 耕起 | D | 不耕起 | |
| 2010/10/17~ | 冬期湛水 | E | |
| 耕起 | E | 不耕起 | |
| 2010/11/21~ | 耕起 | B | 半不耕起 |
| 2010/11/22~ | 冬期湛水 | A | |
| 2010/11/22~ | 冬期湛水 | B | |
| 耕起 | A | 不耕起 | |
| 2011/3/18~4/10 | 浸種 | 屋外 | |
| 2011/4/13 | 播種 | ハウス | |
| 2011/4/20~5/14 | プール育苗 | ハウス | |
| 2011/春 | 代掻き | A〜E | 代掻きせず |
| 2011/5/14 | 田植え | D | |
| 2011/5/15 | 田植え | B・C・E | |
| 2011/5/22 | 田植え | A | |
| 2011/5/14~9/9 | 水管理 | 全圃場 | |
| 2011/5/14~ | 除草 | 全圃場 | 除草不要 |
| 2011/9/5〜9/8 | 落水 | 全圃場 | |
| 時期未記録 | 稲刈り | 全圃場 | |
| 時期未記録 | 乾燥 | A | 天日干し |
| 時期未記録 | 乾燥 | B〜E | 機械乾燥 |
| 時期未記録 | 脱穀 | A | |
| 脱穀 | B〜E | 脱穀不要 |
2011年 伊那市の月ごとの気象データ
| 月 | 平均気温 (°C) | 降水量 (mm) |
|---|---|---|
| 1月 | -0.4 | 40.0 |
| 2月 | 0.0 | 33.0 |
| 3月 | 2.7 | 51.5 |
| 4月 | 8.8 | 48.5 |
| 5月 | 14.6 | 72.0 |
| 6月 | 18.3 | 144.0 |
| 7月 | 22.1 | 182.5 |
| 8月 | 23.6 | 82.5 |
| 9月 | 18.8 | 166.0 |
| 10月 | 12.4 | 57.0 |
| 11月 | 6.2 | 13.0 |
| 12月 | 0.6 | 5.5 |

