2012年の栽培記録と気象データ

【2012年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)

当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。

このページでは、2012年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。

伊那谷の米作柄と地域特性

伊那谷周辺では、2012年の米は平年並み〜やや良の作柄が想定されました。内陸性の気候で日照が多く、昼夜の寒暖差が大きい伊那谷では、登熟期における品質の確保が比較的良好である地域です。この気象特徴は、米粒のしっかりした成熟と、風味向上に寄与し、作柄評価を支える要因となりました。

全国的な統計でも、2012年は登熟が順調に進んだことで収量がやや多くなり、前年の2011年と比較しても収穫量が増加する傾向が見られました。

無農薬・不耕起栽培における雑草との出会い

クログワイとの遭遇

私は無農薬の米作りを志し、これまで冬期湛水・不耕起栽培・除草作業など、様々な方法で雑草対策を試してきました。しかし、2012年シーズンにおいて 最も手強い雑草として立ちはだかったのが「クログワイ」です。

クログワイは地下に塊根を持ち、ランナーを伸ばしながら生息域を拡大します。条間に緑色に伸びる姿は、泥の中からトグサの様な姿に見え、ご覧のように他の雑草とは異なる生命力を持っています。

この雑草は水を好み、地下で塊根を増やしながらランナーで横へ広がるため、冬期湛水や不耕起といった 私の栽培条件がむしろ繁殖適地となってしまう傾向がありました。トロトロ層が形成されたかどうかに関わらず、この雑草の生息には影響を受けないことも観察されました。

不耕起+冬期湛水田の条間に、繁茂したトグサのような姿をしたクログワイ
不耕起+冬期湛水田の条間に、繁茂したトグサのような姿をしたクログワイ

クログワイの繁茂が意味する問題点

クログワイは発芽に酸素を必要としない性質を持つため、湛水環境下でも容易に成長できます。これは、通常の嫌気性環境でも発芽するコナギとも共通する点ですが、クログワイの場合は塊根とランナーを使って繁殖するため、対策がより困難です。

藻類やトロトロ層(軟らかい泥層)は、コナギの幼根が土壌粒子への活着を妨げる傾向があり、それによって一部雑草の抑制効果が見られることもありました。しかし、クログワイはその性質からトロトロ層の有無に関係なく繁茂しました。

トロトロ層に根付いたコナギはトロトロ層に強固に活着できず、除草機で攪拌により、水面に浮いた芽生えたばかりのコナギ
トロトロ層に発芽したコナギは除草機で、簡単に除去し、水面に浮かせることができます。
水面の藻類の遮光効果により、成長が遅れているコナギ
コナギは光を好む為、水面を覆う藻類による遮光効果により、成長を弱らせることができます。

除草の原点に戻る必要性

この年は、単に水管理やトロトロ層を活かすだけでは抑えきれない雑草が明確になりました。それが 「クログワイ」 です。この雑草対策としては、冬期湛水や不耕起だけではなく、人の手による除草機での物理的な除去が不可欠であると実感しました。しかし、除草機で地上部のクログワイを除草機でなぎ倒し、泥の中に埋没させても、地下の塊根から新な芽を出し、再生してきます。

そのため、しばらく週末に除草機を押してクログワイの勢力を弱らせる作業を継続しました。これは経験上、初期段階で株を泥から浮かせたり埋没させたりすることで雑草の力を弱らせることはできるますが、対処療法にすぎません。除草機にとっても、不耕起田の条間に繁茂したクログワイをなぎ倒し、泥の中に埋没させるのは、負荷が掛かり、除草機を壊してしまうことになります。

条間に繁茂したクログワイを除草機で、攪拌し切り刻み、地上部が枯れたクログワイ
条間に繁茂したクログワイの地上部を除草機でなぎ倒し、切り刻んで茶色く枯れた地上部。しかし、新たに地下の塊根から、新芽が再生してきます。
クログワイの除草で、壊れた除草機
不耕起田でのクログワイの除草では、除草機に大きな負荷が掛かり、壊れてしまうこともあります。

まとめ:2012年の作柄と自家栽培の方向性

2012年は全国的に平年並み〜やや良の作柄となり、伊那谷でも安定した稲作が可能な気象条件でした。一方で、栽培方法として 無農薬・不耕起・冬期湛水という自然循環に基づく米作りの可能性を追求する中で、クログワイという雑草の壁を目の当たりにしました。

今後の課題は、豊かなトロトロ層・ミミズなどの土壌生物活動を維持しながら、クログワイのような地下の塊根から発芽する水好適性の強い雑草をどう管理していくかという具体的な除草戦略を構築することです。
この年の経験は、不耕起田+冬期湛水という栽培方法の長所と制約をより鮮明に示すものとなりました。

圃場別栽培条件

圃場(正式名)一本松5488一本松5491中原5513-2中原4843中原8863
圃場ABCDE
作付品種コシヒカリ / 古代米 / 白毛もち米コシヒカリコシヒカリコシヒカリコシヒカリ
栽培方法不耕起田へ冬期湛水
→ 不耕起田に田植え
→ 除草作業不要
不耕起田へ冬期湛水
→ 春に半不耕起
→ 田植え
→ 除草作業不要
不耕起田へ冬期湛水
→ 不耕起田に田植え
→ 除草作業不要
不耕起田へ冬期湛水
→ 不耕起田に田植え
→ 除草作業不要
不耕起田へ冬期湛水
→ 不耕起田に田植え
→ 除草作業不要
備考

2012年の栽培記録

日付作業内容圃場備考
2011/12/3~冬期湛水A
2011/10/29~冬期湛水B
2011/10/16~冬期湛水C
2011/10/23~冬期湛水D
2011/10/16~冬期湛水E
耕起A不耕起
時期未記録耕起B半不耕起
耕起C不耕起
耕起D不耕起
耕起E不耕起
元肥散布A元肥散布無し
元肥散布B元肥散布無し
元肥散布C元肥散布無し
元肥散布D元肥散布無し
元肥散布E元肥散布無し
2012/5/13田植えA
2012/5/13田植えB
2012/5/13田植えC
2012/5/15田植えE
2012/5/20田植えD
除草A除草不要
除草B除草不要
除草C除草不要
除草D除草不要
除草E除草不要
2012/5/13~9/8水管理B
2012/5/15~9/8水管理E
2012/5/20~9/8水管理A
2012/5/20~9/8水管理C
2012/5/20~9/8水管理D
2012/9/9落水A~E
2012/9/22稲刈りAコシヒカリ
2012/9/29稲刈りBコシヒカリ
2012/9/下旬稲刈りC・D・Eコシヒカリ
2012/9/22~9/29乾燥A天日干し
2012/9/19~9/29乾燥B天日干し
2012/9/下旬乾燥C・D・E機械乾燥
2012/9/29脱穀Aコシヒカリ
2012/9/29脱穀B
2012/10/8稲刈りA白毛もち米
2012/10/8~10/13乾燥A天日干し
2012/10/13脱穀A白毛もち米
2012/10/28稲刈りA古代米
2012/10/28~11/3乾燥A天日干し
2012/11/3脱穀A古代米

2012年 伊那市の月ごとの気象データ

平均気温 (°C) 降水量 (mm)
1月-0.657.5
2月-0.270.0
3月3.246.0
4月10.348.5
5月15.783.0
6月18.6143.0
7月23.4176.0
8月24.360.5
9月20.4147.0
10月13.125.0
11月7.28.0
12月1.035.0
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