2015年の栽培記録と気象データ

【2015年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)
当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。
このページでは、2015年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。
結論:伊那谷の2015年作柄
2015年産の伊那谷の水稲作柄は、全国・長野県全体の傾向と同様に 「平年並み」 と総括できます。気象条件に大きな異常がなく、登熟〜成熟期までの環境が守られたことで、収量・品質ともに大きなマイナス要因を受けずに推移したと考えられます。
2015年考察|発酵鶏糞と冬期湛水が土に与えた変化
無施肥栽培を基本とする中での、唯一の例外
我が家の栽培は、基本的に無施肥栽培、つまり肥料を一切入れない栽培を続けている。
しかし2015年時点で、一つだけ例外となる田んぼがあった。それが、有機肥料である発酵鶏糞を使用している田んぼである。
この田んぼは、無施肥へ完全に移行する前段階として位置づけており、土の反応を見極めるための比較対象でもあった。

発酵鶏糞という資材をどう捉えてきたか
発酵鶏糞は有機肥料のひとつであり、最大の利点は非常に安価であることだ。
粉末の発酵鶏糞は、1袋15kgでおよそ150円ほど。コスト面だけを見れば、無施肥栽培と並んで続けやすい資材だと感じている。
一般的には「臭いがきつい=未熟=品質が悪い」とされがちだが、私は必ずしもそうは考えていない。
未熟であるということは、まだ発酵の余地が残っているということでもある。

「土ごと発酵させる」という考え方
秋から冬に発酵鶏糞を散布し、耕起して土と混和する。
そうすることで、鶏糞は土壌微生物の餌となり、土ごと発酵が進む環境が整う。
その過程で、
- 有害なアンモニアガス
- 硫化水素ガス
といったガスは、微生物の働きによって無害な形(硝酸態窒素など)へと変化したり、大気中に揮散していく。
結果として、ガス害や根腐れのリスクは大きく減り、
稲にとって穏やかに養分が供給される状態が作られると考えている。
有機物の安定化と微生物相の変化
発酵鶏糞の分解が進むことで、
急激な分解による肥料焼けや窒素飢餓のリスクは抑えられる。
また、発酵期間を経ることで土壌中の有用な微生物が増殖し、
土壌環境そのものが改善されていく。
この考えは机上の理論ではなく、実体験によって裏付けられたものだ。
冬期湛水と発酵鶏糞が生んだ「トロトロ層」
発酵鶏糞を散布した田んぼで冬期湛水を行ったところ、
春には明らかに違いが現れた。
- 稲わらの上に5〜10cmほどのトロトロ層が形成
- 手ですくうと、イトミミズが10匹ほど確認できる状態
このトロトロ層は、イトミミズやエラミミズの糞が堆積したものであり、
人為的に入れたものではなく、自然が作り出した肥料だと感じている。
一方、無施肥で冬期湛水した田んぼでは、トロトロ層は形成されているものの、昨年の稲わらが透けて見える状態だった。
この違いから、冬期湛水しない場合でも、
発酵鶏糞を使うのであれば、冬に散布し、土ごと発酵させることが、その能力を最大限に引き出すのではないか
という気づきに至った。



自作の有機発酵肥料づくりから得た「冬発酵」という発想
無農薬米栽培を始めた当初、有機肥料とは何かを理解するために、
私は自作の有機発酵肥料づくりを繰り返してきた。
その経験から学んだのは、
冬という季節が、発酵を自然にコントロールしてくれるということだった。
冬の低温は、微生物の急激な活動を抑え、
- 温度上昇による失敗
- 腐敗への転化
といったリスクを大きく減らしてくれる。
一方で、冬の間も微生物は完全に休眠しているわけではない。
低温に適応した微生物が、水分と有機物があれば、ゆっくりと活動を続けている。
この「穏やかな発酵」こそが、良質な有機発酵肥料を生む鍵だと学んだ。
(※この点については、「自作・有機発酵肥料の実体験」ページで詳しく整理する予定である)


不耕起・冬期湛水田に見られた漏水の違い
冬期湛水を行い、不耕起のまま田植えをした田んぼでは、
漏水が非常に激しいという問題も確認された。
朝に水を入れても、夕方にはなくなってしまう状態で、
正直なところ、生長しているかどうか判断が難しい田んぼである。
無施肥・冬期湛水の場合、前年の稲の根穴構造から漏水している可能性が高い。
しかし、過去に発酵鶏糞を散布して冬期湛水した圃場では、同じ不耕起でも漏水は見られなかった。
厚く形成されたトロトロ層が、
保水力を維持する役割を果たしていたのではないかと考えている。


無施肥5年目、2015年時点での現在地
2015年時点で、無施肥栽培は5年目に入った。
これまで積み重ねてきた土の変化が、
この先の生育や作柄にどのように現れてくるのか。
まだ判断できない部分も多い。
ただ、
- 発酵鶏糞
- 冬期湛水
- 微生物
- トロトロ層
これらが確実に一本の線でつながり始めている感覚はある。
この先も、結果を急がず、
田んぼの変化を丁寧に見続けていきたいと考えている。
圃場別栽培条件
| 圃場(正式名) | 一本松5488 | 一本松5491 | 中原5513-2 | 中原4843 | 中原8863 | 一本松5492 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 圃場 | A | B | C | D | E | F |
| 作付品種 | コシヒカリ/古代米/白毛もち米 | コシヒカリ | コシヒカリ | コシヒカリ | コシヒカリ | ササニシキ |
| 栽培方法 | 無施肥→不耕起田へ冬期湛水→田植え→除草 | 無施肥→不耕起田へ冬期湛水→深耕起→田植え→除草 | 無施肥→不耕起田へ冬期湛水→田植え→除草 | 無施肥→不耕起田へ冬期湛水→深耕起→田植え→除草 | 無施肥→不耕起田へ冬期湛水→田植え→除草 | 無施肥→不耕起田へ冬期湛水→発酵鶏糞散布→深耕起→田植え→除草 |
| 備考 |
2014年の栽培記録
| 日付 | 作業内容 | 圃場 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 2014/11/22~ | 冬期湛水 | A | |
| 2014/11/22~ | 冬期湛水 | B | |
| 2014/11/22~ | 冬期湛水 | C | |
| 2014/11/22~ | 冬期湛水 | D | |
| 2014/11/22~ | 冬期湛水 | E | |
| 2014/11/22~ | 冬期湛水 | F | |
| 2015/3/22~4/3 | 浸種 | 屋外 | |
| 2015/4/4 | 播種 | ハウス | |
| 2015/4/5~5/16 | プール育苗 | ハウス | |
| 耕起 | A | 不耕起 | |
| 2015/5/3 | 耕起 | B | スズメのテッポウ酷く、深耕起 |
| 耕起 | C | 不耕起 | |
| 2015/5/3 | 耕起 | D | スズメのテッポウ酷く、深耕起 |
| 耕起 | E | 不耕起 | |
| 2015/5/3 | 耕起 | F | スズメのテッポウ酷く、深耕起 |
| 元肥散布 | A | 無施肥 | |
| 元肥散布 | B | 無施肥 | |
| 元肥散布 | C | 無施肥 | |
| 元肥散布 | D | 無施肥 | |
| 元肥散布 | E | 無施肥 | |
| 2015/5/1 | 元肥散布 | F | 発酵鶏糞150kg |
| 入水 | A | 入水:未実施 | |
| 入水 | B | 入水:未実施 | |
| 入水 | C | 入水:未実施 | |
| 入水 | D | 入水:未実施 | |
| 入水 | E | 入水:未実施 | |
| 入水 | F | 入水:未実施 | |
| 代掻き | A | 不耕起の為、代掻き不要 | |
| 時期未記録 | 代掻き | B | |
| 代掻き | C | 不耕起の為、代掻き不要 | |
| 時期未記録 | 代掻き | D | |
| 代掻き | E | 不耕起の為、代掻き不要 | |
| 時期未記録 | 代掻き | F | |
| 2015/5/17 | 田植え | A | |
| 2015/5/17 | 田植え | B | |
| 2015/5/16 | 田植え | C | |
| 2015/5/16 | 田植え | D | |
| 2015/5/16 | 田植え | E | |
| 2015/5/17 | 田植え | F | |
| 2015/5/17~9/5 | 水管理 | A | |
| 2015/5/17~9/5 | 水管理 | B | |
| 2015/5/16~9/5 | 水管理 | C | |
| 2015/5/16~9/5 | 水管理 | D | |
| 2015/5/16~9/5 | 水管理 | E | |
| 2015/5/17~9/5 | 水管理 | F | |
| 2015/5/23 | 除草 | A | |
| 2015/5/23 | 除草 | B | |
| 時期未記録 | 除草 | C | |
| 2015/6/13 | 除草 | D | |
| 時期未記録 | 除草 | E | |
| 2015/5/23 | 除草 | F | |
| 2015/9/6 | 落水 | A | |
| 2015/9/6 | 落水 | B | |
| 2015/9/6 | 落水 | C | |
| 2015/9/6 | 落水 | D | |
| 2015/9/6 | 落水 | E | |
| 2015/9/6 | 落水 | F | |
| 時期未記録 | 稲刈り | A | コシヒカリ |
| 2015/10/17 | 稲刈り | A | 白毛もち米 |
| 2015/11/1 | 稲刈り | A | 古代米 |
| 時期未記録 | 稲刈り | B | |
| 時期未記録 | 稲刈り | C | |
| 時期未記録 | 稲刈り | D | |
| 時期未記録 | 稲刈り | E | |
| 2015/9/20 | 稲刈り | F | |
| 時期未記録 | 乾燥 | A | 機械乾燥:コシヒカリ |
| 2015/10/17~ | 乾燥 | A | 天日干し:白毛もち米 |
| 2015/11/1~ | 乾燥 | A | 天日干し:古代米 |
| 時期未記録 | 乾燥 | B | 乾燥:機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | C | 乾燥:機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | D | 乾燥:機械乾燥 |
| 時期未記録 | 乾燥 | E | 乾燥:機械乾燥 |
| 2015/9/20~10/4 | 乾燥 | F | 天日干し |
| 2015/11/7 | 脱穀 | A | 白毛もち米 |
| 2015/11/15 | 脱穀 | A | 古代米 |
| 脱穀 | A | コシヒカリの脱穀:必要無し | |
| 時期未記録 | 脱穀 | B | 脱穀:必要無し |
| 時期未記録 | 脱穀 | C | 脱穀:必要無し |
| 時期未記録 | 脱穀 | D | 脱穀:必要無し |
| 時期未記録 | 脱穀 | E | 脱穀:必要無し |
| 2015/10/5 | 脱穀 | F |
2015年 伊那市の月ごとの気象データ
| 月 | 平均気温 (°C) | 降水量 (mm) |
|---|---|---|
| 1月 | 5.2 | 90.5 |
| 2月 | 6.9 | 21.0 |
| 3月 | 12.7 | 102.0 |
| 4月 | 18.3 | 210.0 |
| 5月 | 25.7 | 78.0 |
| 6月 | 25.5 | 187.5 |
| 7月 | 29.1 | 196.5 |
| 8月 | 26.5 | 145.0 |
| 9月 | 21.5 | 230.0 |
| 10月 | 15.5 | 110.0 |
| 11月 | 9.5 | 95.0 |
| 12月 | 4.5 | 85.0 |
- お米の栽培記録・気象データ一覧↗
- 2014年の栽培記録↗
- この年の経験は、その後の無農薬米栽培における栽培方法の判断に大きな影響を与えています。
→2016年の栽培記録はこちら - 2017年の栽培記録↗

