2009年の栽培記録と気象データ

2009年の栽培記録と気象データ
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【2009年】無農薬米の作柄と栽培記録|伊那谷の気象データ(農家直販)

当農家では20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。

このページでは、2009年の無農薬米(自然栽培)の作柄と、伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。

2009年は気象条件の変化が大きく、稲の生育に影響した一年でした。当ページでは、当農家が公開する 2009年の栽培記録と月別の気象データを掲載しています。

2009年の生育を振り返って ― 伊那谷の気象と我が家の圃場の様子

伊那谷における2009年の気象と一般的な作柄

2009年の伊那市周辺の気象を振り返ると、春先は気温の上昇がやや緩やかで、梅雨期以降は天候の変動が多く、水稲の生育には注意を要する年だったと感じています。
極端な冷害や高温障害は見られなかったものの、生育初期の条件が圃場ごとの差となって表れやすく、伊那谷全体としては「平年並みだが、管理の差が収量と作柄に影響した年」であったと受け止めています。

用水路工事と短期間の冬期湛水という条件

我が家の圃場では、用水路工事の影響により、例年のような十分な期間の冬期湛水ができず、2009年は2月末からの短期間の冬期湛水となりました。
元肥としては、発酵鶏糞を10アール当たり150kg散布した後に入水し、可能な範囲で冬期湛水を行う形となりました。

本来であれば、冬期湛水によって雑草種子の死滅や土壌表層の安定を期待したいところですが、この年は期間が短かったため、その効果は限定的であったと感じています。

冬期湛水田に見られた藻の発生と雑草への影響

田植え後、半月ほど経過すると、冬期湛水を行った圃場では田面一面に藻が発生しました。
一般的には敬遠されがちな藻ですが、私はこれを悪いものとは捉えていません。藻が水面を覆うことで遮光効果が生まれ、雑草、特にヒエの初期生育を抑える働きがあると感じているからです。

実際に、藻が発生した圃場では水中が薄暗くなり、ヒエが水面まで伸びきれず、藻に絡め取られている様子が確認できました。一方、冬期湛水を行っていない圃場では藻は発生せず、ヒエと稲苗が直接競合する状態となり、除草機による作業が不可欠でした。

冬期湛水田では、当たり前のように見られる田面を覆いつくす藻
冬期湛水田で、田面を覆いつくす藻|この藻を抑草に利用する
藻による遮光効果で、水中で弱っているヒエ
藻で覆われた水面下は光が十分届かず、ヒエの生長を妨げる
冬期湛水しなかった圃場で、伸び伸び繁茂するヒエ
イネ科のヒエは稲と同じように成長するので、競合しないように早期の除草が重要
冬期湛水していない圃場では藻が覆わない為、遮光効果は全く無い。
冬期湛水しなかった圃場は藻類が繁茂しないので、遮光効果は無し

短期間冬期湛水の限界と除草作業

ただし、2009年は冬期湛水の期間が短かったため、ヒエの種子が十分に死滅せず、結果として雑草の繁茂は避けられませんでした。
藻の発生によってヒエの初期生育は抑えられたものの、トロトロ層の厚みは不十分で、完全な抑草には至らなかったと判断しています。

そのため、冬期湛水田であっても除草作業は必要となりました。
藻が多い状態で作業を行うと、稲苗が藻に押されて倒伏する恐れがあるため、一度落水してから除草を行う必要があり、この点は今後の課題として残りました。

冬期湛水田で、藻が稲の苗を倒さないように落水後、除草している様子
除草機の動きで藻を動かし、稲の苗を倒さないように落水して除草作業を行う

生物相の変化と土の状態

圃場ではイトミミズの発生も確認でき、土壌中での生物活動は確実に進んでいると感じました。
一方で、期待していたほどのトロトロ層は形成されず、冬期湛水期間の短さが土づくりにも影響したと考えています。

トロトロ層からお尻の方を水面に出し、ゆらゆら揺れているイトミミズ
イトミミズは土中の有機物を食べ、糞を水中に排泄し、それがトロトロ層と言われ、**還元状態(酸素欠乏状態、または嫌気性状態)**であり、雑草の発芽を抑える効果がある

2009年の作柄に対する総括

以上を踏まえると、2009年の我が家の圃場は、
「短期間の冬期湛水でも一定の効果は確認できたが、本来の力を引き出すには期間が不足していた年」
であったと総括できます。

藻の発生による抑草効果や生物相の変化は、今後の栽培にとって大きな手応えとなりました。一方で、雑草管理やトロトロ層の形成という点では課題も明確になり、冬期湛水の期間と水管理の重要性を改めて実感した一年でした。

圃場別栽培条件

圃場(正式名)一本松5488一本松5491中原5513-2中原4843中原8863
圃場記号ABCDE
作付品種コシヒカリ / 古代米白毛もちコシヒカリコシヒカリコシヒカリ
栽培方法半不耕起 → 肥料(くず大豆+発酵鶏糞) → 除草半不耕起 → 肥料(くず大豆+発酵鶏糞) → 除草剤冬期湛水 → 発酵鶏糞 → 代掻き → 除草冬期湛水 → 発酵鶏糞 → 代掻き → 除草発酵鶏糞 → 冬期湛水 → 半不耕起
備考

2009年の栽培記録

日付作業内容圃場備考
2008/12/23元肥散布C発酵鶏糞300kg
2008/12/23元肥散布D発酵鶏糞450kg
2008/12/23元肥散布E発酵鶏糞300kg
2009/2/末入水C
2009/2/末入水D
2009/2/末入水E
2009/2/末~冬期湛水C用水路改修の為、入水遅れ
2009/2/末~冬期湛水D用水路改修の為、入水遅れ
2009/2/末~冬期湛水E用水路改修の為、入水遅れ
2009/2/末~4/11浸種屋外
2009/3/13元肥散布Aくず大豆100kg/発酵鶏糞375kg
2009/3/13元肥散布Bくず大豆100kg/発酵鶏糞300kg
2009/3/23半不耕起A
2009/3/23半不耕起B
2009/3/28半不耕起E
2009/4/12播種ハウス
2009/4/12~5/16プール育苗ハウス
2009/4/18播種ハウス発芽ムラにより追い蒔き
2009/4/25播種ハウス発芽ムラにより追い蒔き
2009/4/26入水A
2009/4/26入水B
2009/5/4代掻きE
2009/5/5代掻きC
2009/5/10代掻きB
2009/5/16田植えB
2009/5/16除草剤散布B
2009/5/16~水管理B
2009/5/17~水管理C
2009/5/17~水管理E
2009/5/17田植えC
2009/5/17田植えE
2009/5/20代掻きA
2009/5/21代掻きD
2009/5/23田植えA
2009/5/23田植えD
2009/5/23~水管理A
2009/5/23~水管理D
2009/5/30~7/末除草A
2009/6/16除草C
2009/6/27除草D
2009/9/4落水B
2009/9/4落水C
2009/9/4落水D
2009/9/4落水E
2009/9/12落水A
2009/9/21~10/11乾燥C
2009/9/21~9/22稲刈りCコシヒカリ
2009/9/22稲刈りEコシヒカリ
2009/9/23稲刈りAコシヒカリ
2009/9/23乾燥E機械乾燥
2009/9/23~10/11乾燥Aコシヒカリ天日干し
2009/9/26稲刈りAコシヒカリ
2009/10/2稲刈りDコシヒカリ
2009/10/2脱穀C
2009/10/3乾燥D機械乾燥
2009/10/9稲刈りB白毛もち米
2009/10/10稲刈りA白毛もち米
2009/10/10乾燥B機械乾燥
2009/10/10~10/23乾燥A白毛もち米天日干し
2009/10/12脱穀Aコシヒカリ
2009/10/24脱穀A白毛もち米
2009/11/7稲刈りA古代米
2009/11/22脱穀A古代米
2009/11/7~11/21乾燥A古代米天日干し

2009年 伊那市の月ごとの気象データ

平均気温 (°C) 降水量 (mm)
1月-0.243.5
2月0.436.0
3月3.188.5
4月10.5103.0
5月15.3137.0
6月19.3205.0
7月22.4217.0
8月23.6246.0
9月19.7189.0
10月13.663.5
11月7.119.0
12月1.229.0

【作柄 2009年】

初期〜中期は天候が安定し、気温も平年並みで生育は順調に推移した。
7〜8月は雨が多かったものの極端な日照不足ではなく、分げつ・穂肥反応は良好。
一方で秋の低温傾向により登熟はややゆっくりとなり、成熟期がやや後ろにずれた。

収量: 平年並み〜やや良。
品質: 玄米外観は比較的良好だが、一部の圃場で乳白粒が若干増えた年だった。

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