2007年の栽培記録と気象データ

2007年の栽培記録と気象データ

当農家では、20年以上にわたり無農薬米を農家直販でお届けし、
毎年の栽培記録と気象データを公開してきました。
これは、安心して選んでいただけるよう「栽培の透明性」を大切にしているためです。

このページでは、2007年の無農薬米の作柄と、
伊那谷の気象データ(気温・降水量・日照時間)をまとめています。
農家直販ならではのていねいな栽培履歴をご確認いただけます。

この栽培記録が全国の無農薬米づくりに持つ意味

この年の栽培記録では、肥料投入量の調整や水管理の工夫によって、 気象条件が異なっても安定した生育を目指す考え方が整理されています。 これらの判断は特定の地域に限らず、 全国の無農薬米栽培においても基本となる視点です。

■ 2007年の生育を左右した要因と圃場ごとの観察

2007年の伊那市は気温・降水ともに平年並みで、稲の生育にとって安定した一年でした。この気象に支えられ、我が家の圃場では、くず大豆の施用量を控えたことによる病害軽減や、冬期湛水圃場の好調な生育が見られました。また、深水管理を用いたヒエ対策にも取り組み、その効果と課題が明確になった一年でもありました。

● 圃場別の気づき(2007年 観察記録)

圃場土の状態雑草の出方冬期湛水深水管理の結果
D硬い土大発生未実施ヒエ発生→死滅
Cトロトロ発生なし実施雑草無し/深水は不要
Eトロトロ発生なし実施雑草無し/深水は不要
A硬い土大発生未実施ヒエ発生→死滅
B硬い土大発生未実施ヒエ発生→死滅

2007年の栽培記録と気象データの総合考察(伊那市)

2007年の伊那市は気温・降水ともに平年並みで、稲の生育にとって安定した一年でした。この気象に支えられ、我が家の圃場では、くず大豆の施用量を控えたことによる病害軽減や、冬期湛水圃場の好調な生育が見られました。また、深水管理を用いたヒエ対策にも取り組み、その効果と課題が明確になった一年でもありました。

有機肥料(くず大豆)を控えた結果と病害の減少

昨年、やや発生が目立ったイモチ病への反省から、今年はくず大豆の施用量を控えめにしました。

  • 肥料過多による軟弱徒長が抑えられ、
  • 気象が安定していたことも追い風となり、
  • 病害の発生は大幅に軽減

特に、平年並みの気温が続いた 2007 年は、窒素過多による病気の誘発が起きにくく、肥料調整の効果がハッキリ現れた年といえます。

② 冬期湛水圃場の成果 ― 病害ゼロ・無除草の達成

冬期湛水を行った圃場では、以下が顕著でした:

  • イモチ病などの病害なし
  • 雑草がほとんど生えず、除草作業が不要
  • 稲の背丈が高く、生育量(草勢)がしっかりしている
  • 葉色も濃く、明らかに肥料成分の循環が良い状態

冬期湛水による微生物相の改善・有機物分解が、
2007 年の安定した気象と組み合わさったことで、
理想的な生育環境が整ったと言えます。

③ ヒエ対策としての深水管理 ― 効果と残った課題

今年初めて、冬期湛水を行っていない圃場で、
ヒエを抑えるために深水管理を試しました。

● 効果

ヒエは水中で軟弱化し、生育力を失って死滅
ヒエ対策としては非常に有効

水中で、死滅寸前のヒエ

● 一方での課題

稲の一部が深水に耐えられず、水中で枯死する株が発生

深水による徒長も見られた

圃場の均平が不十分だと、低い部分だけ水没してしまう

圃場の均平が悪く、深水に埋没し、死滅した稲の苗

● 技術的結論

深水管理はヒエには効果的だが、

  • 苗質(がっしりした苗)
  • 圃場均平の精度
    が強く求められ、管理に手間がかかる技術。

2007 年が安定気象で稲の負担が少ない年だったにもかかわらず、
それでも深水に弱い株が出たことから、
この方法がややリスクのある技術であることが確認できました。

④ 総合的な評価と翌年への技術的示唆

2007年は気象が平年並みで稲にストレスの少ない年でした。
そのため、

  • 肥料量の調整 → 病害軽減
  • 冬期湛水 → 生育改善・無除草達成

といった取り組みの効果が、非常に素直に現れた一年でした。

一方、深水管理はヒエには効いたものの、
稲への負担や管理の難易度の高さが課題として残り、
総合的には今まで通り
「冬期湛水+除草機中心」という
既存の雑草対策のほうが安定していると判断できます。

圃場別栽培条件

圃場(正式名)一本松5488一本松5491中原5513-2中原4843中原8863
圃場ABCDE
作付品種コシヒカリ/古代米コシヒカリ白毛もち米コシヒカリコシヒカリ
栽培方法半不耕起→肥料(くず大豆+有機発酵肥料+おから)→除草半不耕起→肥料(くず大豆+有機発酵肥料+おから)→除草冬期湛水→深不耕起→肥料(くず大豆+おから)半不耕起→肥料(くず大豆+発酵鶏糞)→除草剤冬期湛水→半不耕起→肥料(くず大豆+おから)
備考

2007年の栽培記録

日付作業内容圃場備考
冬期湛水A冬期湛水:未実施
冬期湛水B冬期湛水:未実施
2006/12~冬期湛水C
冬期湛水D冬期湛水:未実施
2006/12~冬期湛水E
2007/4/2~4/5浸種屋外
2007/4/8種籾殺菌屋外シュードモナス属細菌を種子粉衣(30~40g/4kg)
2007/4/8播種ハウス
2007/4/8~5/11プール育苗ハウスリキッドアグリ1ℓ(チキンポークエキス)使用
2007/4/21~5/19プール育苗ハウス発芽不良による蒔き直し分
耕起A耕起:半不耕起
耕起B耕起:半不耕起
耕起C耕起:深耕起
耕起D耕起:半不耕起
耕起E耕起:半不耕起
2007/4/1元肥散布Aくず大豆125kg/有機発酵肥料:量不明/おから500kg
2007/4/1元肥散布Bくず大豆100kg/有機発酵肥料:量不明/おから400kg
2007/4/1元肥散布Cくず大豆100kg/おから400kg
2007/4/1元肥散布Dくず大豆125kg/発酵鶏糞450kg
元肥散布Eくず大豆125kg/おから300kg
2007/4/1入水A
2007/4/1入水B
2006/12入水C
2007/4/1入水D
2006/12入水E
2007/5/13代掻きA
2007/5/13代掻きB
2007/5/6代掻きC
2007/5/6代掻きD
2007/5/13代掻きE
2007/5/20田植えA田植え後、米ぬか散布150kg
2007/5/20田植えB田植え後、米ぬか散布105kg
2007/5/20田植えC
2007/5/12田植えD
2007/5/12田植えE
2007/5/20~9/8水管理全圃場深水管理
2007/5/26除草A1回目:初期除草機
2007/6/30除草A2回目:手取り除草
2007/5/26除草B1回目:初期除草機
2007/6/23~6/24除草B2回目:手取り除草
除草C除草不要
2007/5/8除草D初期除草剤使用
除草E除草不要
2007/9/9落水全圃場
2007/10/5~10/7稲刈りAコシヒカリ
2007/10/28稲刈りA赤米
2007/11/18稲刈りA香り米
2007/10/5~10/7稲刈りB黒米
2007/9/末稲刈りCコシヒカリ
2007/9/末稲刈りDコシヒカリ
2007/9/末稲刈りEコシヒカリ
2007/10/7~10/13乾燥Aコシヒカリ天日干し
2007/10/28~11/23乾燥A赤米・香り米
2007/11/18~11/23乾燥A黒米
2007/10/7~10/14乾燥Bコシヒカリ天日干し
時期未記録乾燥C機械乾燥
2007/9/27乾燥D機械乾燥
2007/9/27乾燥E機械乾燥
2007/10/13脱穀Aコシヒカリ
2007/11/23脱穀A古代米
2007/10/14脱穀Bコシヒカリ
脱穀C脱穀不要
脱穀D脱穀不要
脱穀E脱穀不要

2007年 伊那市の月ごとの気象データ(参考:長期平均値)

平均気温 (°C)降水量 (mm)
1月-0.748.9
2月0.470.4
3月4.4121.5
4月10.3125.1
5月15.9143.6
6月19.5185.3
7月23.2194.5
8月24.0131.7
9月19.9169.6
10月13.6148.7
11月7.290.1
12月1.957.4

■ 年度別の栽培記録

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